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会社が儲かっても給料が上がらない本当の理由<2>

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<前回のおさらい>
☑ 社員の給料がどのくらい上がるかは、会社の利益の上がり方にはあまり関係がない。
☑ 給料は、会社が生んだ付加価値の上がり方に関係している。(付加価値が増えないと給料は増えない)

cop-vs-salary<図.営業利益のアップ代と給料のアップ代には関係がない>

added-value<図.付加価値向上代と給料のアップ額に相関がある>

<日本の会社全体の付加価値額はいくらか?>

「会社が生んだ付加価値」といってもピンとこないと思いますので、具体的な数値で見てみましょう。

2015年度の実績は以下の通りです。

日本の会社全体が生み出した付加価値:294兆円(但し、金融業、保険業は除く)
日本の会社全体の給料と福利厚生費 :173兆円
従業員の総数           :4053万人
(出典:財務省 法人企業統計より)

付加価値の総額は、国家予算の3倍程度、我々の給料の総額は国家予算の1.5倍程度、ということが分かります。

時代による変化を見るために、1960年から付加価値、給料、従業員数のデータをグラフにしてみました。

history1

一番上の青い丸が、付加価値の総額です。ITバブルが崩壊した2001年、リーマンショックの影響を受けた2008年に落ち込んでいることが分かります。

そして、最近は回復傾向にあるように見えます。

一番下の黄色い丸が、給料と福利厚生費用の総額です。1995年から2015年まで、ほとんど増えていないことが分かります。

真中の茶色い丸が、従業員数です。これも2005年以降ほぼ横ばいです。

バブル景気絶頂の1990年までは、付加価値も給料も従業員数も右肩上がりです。しかし、最近は横ばい基調で小刻みに上下している感じです。

付加価値と給料の関係を見るために、データの整理方法を少し変えてみましょう。

 

<社員一人当たりの付加価値が決まると、給料はほぼ自動的に決まる>

先ほどのグラフの茶色い丸従業員数は、年によって変動していました。

この影響を無くして比較できるように、付加価値と給料を従業員数で割ってみましょう。

こうすることで、一人当りの付加価値と給料の相関を直接比較することが出来ます。それが下のグラフです。

per-head-added-value

かなり強い相関(R2=0.995)があります。社員一人当りの付加価値が決まると給料はほぼ自動的に決まる、と言って良いレベルです。

給料を増やすには、みんなが頑張って付加価値を増やせば良いのですが、ここで一つ問題があります。

それは、付加価値の上がり方と給料の上がり方のトレンドが、変わり始めているという点です。

特に、最近10年が問題です。

 

<最近10年で何が起きているのか?>

先ほどのグラフにある丸を、年代別に線でつないでみます。

丸一つが一年分の結果ですので、丸と丸のつながり方をみると、時代の動きが見えてきます。

added-value-trend

時代は、左下から右上に進んでいます。ところが、ところどころで折れたり逆行している年があります。

たとえば、横軸が300くらいのところに、少し折れている点がありますが、これが1975年のオイルショックの影響です。

その後は順調に右肩あがりの成長を続けましたが、右上の黒丸で囲ったところはゴチャゴチャと動いているのが分かります。ここが注目点です。

1960年から2015年までの全体トレンド線と、赤い丸で示した最近10年(2006年から2015年)のトレンド線を比較してみます。

 

<付加価値と給料の関係が明らかに変わった!>

分かりやすいように補助線を入れました。最近10年のトレンド線のほうが、全体トレンド線よりも寝てきていることが分かります。

 

trend-check

この線の傾きが寝るということは、昔と同じように付加価値を向上しても、給料が上がりにくくなってきていることを示しています。

どのくらい上がりにくくなってきたのか?

同じ付加価値向上があったとして、昔であれば10上がっていた給料が、最近は2しか上がらない、というくらいの「上がりにくさ」なのです。

この「上がりにくさ」を解消するために、給料を増やして、金回りを良くして、物価を上げようとしています。

「官製春闘」が始まった2014年以降、このトレンド線の傾きが少しでも持ちあがったのでしょうか?

次回、さらに詳しく見ていきます。

 

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