ディープラーニングがすごい理由
From:山極綾子
ここ数年、本当にたくさんの分野や場所で、
ディープラーニングが脚光を浴びています。
画像をディープラーニングで学習させて、人を識別する。
声をディープラーニングで学習させて、音声認識をする。
例えば、Googleの音声入力の精度には驚くべきものがありますし、
Youtubeの自動生成された字幕なんかを見ていただくと、
ところどころ間違いもありつつ、でも意味が十分とれるものになっています。
アレクサの音声認識も素晴らしく、朝お布団の中から
「アレクサ、エアコン付けて」といえば、暖かいお部屋の完成です。
囲碁や将棋のAIも、その世界のプロに勝てちゃうこともある…だなんて、
本当に怖い性能だ、と感じてしまいます。
さて、早速ですが質問です。
ディープラーニングがすごいことをいくつも成し遂げられる
一番の理由は何だと思いますか?
モデルが、人間の脳の構造を模しているから、でしょうか。
実は違います。
一番の理由は、データが大量にあるからです。
実はディープラーニングに用いられている考え方の基本というのは、
きちんとひも解くとそれほど難しいことはありません。
あなたは、回帰分析にどれくらい馴染みがあるでしょうか。
身長と体重のデータから、その関係性を、y=ax+bの数式に当てはめて
モデル化しよう、という、とても基本的な統計的手法です。
驚くべきことに、ディープラーニングがやっているのは、
この基本の考え方を何個も組み合わせることだけなのです。
なんと、こんな単純な数式でも、
組み合わせることでどんな複雑なモデルでも表現することが出来るというのです。
しかし、複雑なモデルを学習するためには、データ数が欠かせません。
AIの学習では、手元にあるデータに適合するように、学習が進んでいきます。
例えばデータが1つしかなければ、いくらディープラーニングでも、
そのデータの特徴だけを抽出する、
とても単純なモデルしか作ることができません。
じゃあ、データが足りなければ、うまくいかないの?
その通りです。
複雑なモデルを学習するためには、
それこそ信じられないくらい膨大なデータが必要になります。
そのため、例えばデータが少ない時には、
人間があらかじめ「こんなモデルになるんじゃないかな」とあたりを付け、
学習に必要なデータを減らすことをしたりします。
データが少ないはずなのに、あたりを付けられるだなんて!
AIについて勉強すればするほど、人間のすごさに驚かされるばかりです。
山極綾子
P.S.
ディープラーニングは、回帰式を何個も組み合わせているモデルである、
ということは、数学的に証明されています。
数学者、本当に恐るべしです。
P.P.S.
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