ジェネレーションギャップで商売を繁盛させる方法
高齢化の事実
皆さんにクイズをひとつ。1日に約1万人が65歳を迎えており、2030年までには、国民の5人に1人が65歳以上になる。そして2035年には、退職年齢に達した人々が18歳以下を人数で上回ると見込まれる。
さてこの国は、どこでしょう?
この手のニュース、我々皆が聞きあきてますね。また日本の高齢化社会の話かと。。。
ところが、正解は日本ではなく、アメリカなんですよ。
世界14カ国、60万人以上が読んでいるグローバル・マネジメント誌『ハーバードビジネスレビュー』、2019年4月号のメイン特集は「シニア人材を競争力に変える」でした。
日本での高齢化を懸念するニュースをよく聞きますが、同誌によると高齢化のスピードが世界の平均より遅いのは、なんとアフリカだけだそうです。
ということは、アジア、オセアニア、北米、欧州、中南米およびカリブ諸国でも着実に高齢化が進み、世界的にシニア人材の活用に頭を悩ませているわけです。
ベテランのインターンを描いた映画から分かること
実は、組織のなかでも、ベテランが活躍すればするほど、全体の生産性が著しく高まることがわかっています。
年齢によるダイバーシティを活用すれば、企業の競争力が高まるというリクツです。
なぜ高齢者が活躍すると、企業の競争力が高まるのでしょうか?
ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイ主演の『マイ・インターン』というアメリカ映画があります。
ファッション通販サイトを運営する女性社長ジュールズ(アン・ハサウェイ)のもとに、シニア・インターンで採用された70歳の老人、ベン(ロバート・デ・ニーロ)がやってきます。
最初こそ、若者ばかりの社内で浮いた存在だったベンでしたが、その人柄でどんどん社内の人気者になります。
そして、公私共に大きな問題を抱えていたジュールズのいわばメンター役となり、難問に立ち向かう手助けをするのです。
この映画のように、シニアが活躍できる人事制度を持つ組織は、異なる世代に渡る社員がイキイキと働く環境をもたらし、その結果、競争優位に立てる可能性を秘めています。
一方で、現代の日本では、大企業のほぼ半数が「役職定年制」を導入しています。「役職定年制」とは、定年になる前に一定の年齢に達したときに管理職などを外れる制度のことです。
同じ仕事ができるのに、一定の年齢になったら役職から外すのは合理性に欠けていると言わざるを得ません。
その人の能力に関係なく、一律に「50歳になったら課長から外れる」「55歳になったら部長から外れる」というのは、ある意味年齢による差別とも言えるかもしれません。
役職がなくなると同時に、給与を下げる人事制度設計になっているところが多いので、結果的に給与が下がりモチベーションがダウンします。
そもそも「役職定年制」は、何のために導入されたかというと、組織の新陳代謝を高める目的があったからです。つまり優秀な若手を登用させることが狙いです。
しかし、若手の活躍機会を確保したいのではあれば、ほかにもやり方があります。
たとえば、ベテラン管理職に若手育成のタスクを与えること、あるいは指導者専門職のポジションに任命し、部下マネジメントから技術伝承マネジメント職に”社内転職”してもらう方法です。
若手を昇進させるのは、チームマネジメントを学ばせるためです。一方シニア層は、部下はいないけれども、メンターとしてあるいは専門能力を発揮するプロフェッショナルとして活躍してもらう方式です。
若手にメンター役としてシニア人材を配置すると効果的です。まさに『マイ・インターン』の世界を地でいくことになります。
ダイバーシティーは性別だけではない
そもそも「ダイバーシティ」とは「多様性」ということです。多くの人は「性別」や「価値観」の多様性を思い浮かべるかもしれませんね。
でも、年齢の多様性も、異なる性別や価値観の交流と同じく、多様な人が補い合って働くことで生産性を大きく高めます。
『ハーバードビジネスレビュー』、2019年4月号では、主に年齢によるダイバーシティの活用について非常に詳しく書かれています。
私が以前、在籍していた自動車会社では、その当時から女性管理職の比率を高めようとしていました。なぜなら、自動車の購入決定権は女性にあるからです。
彼女や奥さんが「No」という車は、男性は購入しません(というかできません!)
同じように、高齢化が進む日本において、現在最大であり、またこれからも広がっていくマーケットであるシニアの気持ちがわかるのは、同年代のベテラン社員です。
絵画の巨匠パブロ・ピカソも「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」と言っています。
たとえ、どんなに「画期的」「独創的」といわれる製品やサービスでも、その誕生過程には模倣のプロセスがあるそうです。
イノベーションとは、アイデアとアイデアの組み合わせにすぎない、というマーケッターもいます。
50歳、60歳の気持ちが理解できる人が組織にいれば、ターゲットにしかわからない付加価値を創出できる可能性が高まります。
たとえば、超高級世界一周クルーズ、会員制のレストランなどは、若手社員が考えても限界があるでしょう。
人事制度は何ができるのか?
『ハーバードビジネスレビュー』がシニア人材について特集を組んだのは、これが日本だけの問題ではないからです。
ただ、世界中で同時進行しているなかで、日本はいち早く超高齢化に進み、この問題に直面しています。
つまり、今ここで、シニア人材の上手な活用法を見出せば、グローバルな競争力が得られるのです。優れた発明は「真似」から生まれると言われます。
故スティーブ・ジョブスは、「素晴らしいアイデアを盗むことに我々は恥を感じてこなかった」と言い、模倣については必ずしも否定的ではありませんでした。
何もないところから、まったく新しい発明をすることはほとんどないと言えるでしょう。
そして、シニア世代が働きやすい施策は、すべての世代に恩恵をもたらすということです。
ここで私が言いたいのは、イノベーションを起こす過程での「真似る」ことは、経験者の知識が有効だということです。
では具体的にどのような人事制度を設計すれば良いのか?少しアイディアを出しましょう。
①柔軟な勤務体制で、ライフスタイルに合わせた働き方ができるようにする
②在宅勤務やフリーアドレス制など、働きやすい職場環境を整備する
③豊富な人生経験を持つシニアから、若手が学ぶ研修プログラムを開発する
シニア層が納得できる人事制度では、なにを重視すべきなのでしょうか?
それは、評価制度と報酬制度です。これまでのような年功賃金だと給与は青天井になってしまいます。
一方で、シニアの豊富な経験をコンピテンシーなどの一つの物差しで測ることもムリがあるでしょう。
このような理由から、私は「会社への貢献度」だけで社員全員を評価し、報酬を決めることを勧めています。
普段一緒に働いている仲間から、「あの人は会社にすごく貢献している」と評価をもらっているのに、実際は活躍していないことはほぼあり得ない。
極めて現場に近い感覚で評価ができるからです。
コンピテンシー評価を過信すると、その逆が起きることが良くあります。評価項目にないことには、興味を抱けなくなるからです。
「会社への貢献度」を単一の評価基準にするだけで、シニア人材を競争力に変え、若手にも中堅にも納得のいく人事制度が作れますよ。
そして今、世界中の企業が直面している問題の解決の糸口を、あなたの組織がどこよりも早くものにすることができる、というわけです。
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