40代管理職がぶつかる大きすぎる壁
From:岩下知史
経営人事パートナーズ、エグゼクティブコーチの岩下です。
あなたは「今まで感じたことがなかった疑問や不安が、今になってドンドン湧いてくる・・・」と感じたことはありませんか?
これは、特に40代前後の管理職の方によくある悩みです。
年齢を重ねて、特にリーダーシップを発揮する立場となると、それまでのキャリアでは気づかなかった様々な課題が明らかになることがあるからです。
結論から申し上げると、これらの問題に対応するにはビジネスのスキルや知識だけでは十分ではありません。
つまり、それまでのキャリアだけに頼ってしまうと、解決策が見出しづらいということですね。
というわけで今日は、40代の管理職が直面する可能性のある「新たな壁」と、それを乗り越えるための具体的な方法についてお伝えしたいと思います。
■30代からの心理変化
少し古いデータですが、一般財団法人労務行政研究所の2010年の調査によると、課長職への最短昇進年齢は平均33.9歳だそうです。
また2021年の厚生労働省の調査では、課長職の平均年齢は男女あわせて48.7歳とのこと。
さらにスイスの心理学者であるユングによると、30代の中盤以降は「人生の午後」と呼ばれ、自分の内面を充実させる時期だと考えられています。
私がここで何を言いたいかというと「多くの方が管理職に就く時期は、外部からも内面からも様々なことが起こりやすい」ということです。
だからこそ、似たような悩みを抱える人も多いのだと言えます。
外部からは責任ある仕事を任され、プレッシャーの中で部下を育てなければいけません。
自分が動けばすぐに終わる仕事も、部下の成長のためにグッと見守る必要があります。
そんな中で「今考えれば昔はラクだった・・・そういえば最近は趣味の釣りにも行けてないな。
仕事が嫌いなわけでもないが、俺は何のためにこんなに頑張ってるんだ?」という内面との葛藤が始まるわけです。
更に彼らの心の言葉を並べると、こんなイメージでしょうか。
「昔はこれでよかったが、これまでのやり方は今後も通用するんだろうか?」
「若手と話が合わない・・・どうすれば彼らを理解できるんだろう?」
「取り残されたくはないが、正直最新の技術やトレンドについていける気がしない」
「もう夜遅くまで働くのはしんどい・・・でもそれを言い訳にはできない」
「会社の新しい方針に適応するのが難しい・・・今までのままじゃダメなのか?」
「いまの経営状況や市場の変動を見ると、会社の未来が心配だ」など。
どうでしょう、あなたにも共感できる悩みはありますか?
これらの悩みに、更にプライベートでの問題が重なったら・・・と思うと、頭の中が一杯になってしまうのも無理はありません。
まず、ここで私がお伝えしたいのは「それが健全な状態なんですよ」ということです。
心理的にも人間として必要な経験を得て、然るべきタイミングで、さらなる成長への試練がやってきているわけです。
とはいえ、ご本人は大変な状況なので、そう言われても納得できないかもしれません。
実は私の過去のコーチングクライアント(Aさん)も、同じように悩まれて「転職すべきか?独立すべきか?」を決めかねていました。
しかし、結局Aさんが最終的に取った行動は「会社に残って昇進すること」でした。
では、どうやってこの40代が抱える壁を乗り越えるか?
実際にAさんにお伝えした方法を、あなたにもお伝えしたいと思います。
■自覚の重要性
人は不安に襲われると、冷静な判断ができません。
であれば、まずは客観的な視点を持ち、現状何について課題を感じているのか?
整理してみます。
例えば、先ほど挙げたいくつかの心の言葉は、以下のようなカテゴリーに分けることができます。
<心の言葉をカテゴリーに分けると?>
「昔はこれでよかったが、これまでのやり方は今後も通用するんだろうか?」
→1.自分の価値観の再確認
「若手と話が合わない・・・どうすれば彼らを理解できるんだろう?」
→ 2.世代間のギャップ
「 取り残されたくはないが、正直最新の技術やトレンドについていける気がしない」
→3.技術や知識のアップデート
「もう夜遅くまで働くのはしんどい・・・でもそれを言い訳にはできない」
→4.身体の限界
「最近、会社の新しい方針に適応するのが難しい・・・今までのままじゃないとだめなのか?」
→5.変化への適応
「いまの経営状況や市場の変動を見ると、会社の未来が心配だ」
→6.組織の将来への不安
このように眺めると、これだけの幅広いカテゴリーを、全て同じ課題として扱うのは無理があると思いませんか?
カテゴリー分けの目的は課題の整理と、現状の客観的な「自覚」です。
管理職になるくらいの方ですから、多くの場合は責任感が強く、また自分の能力や判断力にも自信があります。
しかし、人間の判断力は実に不安定なものです。
よくマーケティングの中で使われる言葉として「アンカリング効果」というものがあります。
これは例えば、ある商品が「通常価格10,000円、今だけ5,000円!」と表示されている場合、5,000円が安いと感じる効果のことです。
しかし、実際にはその商品の価値が5,000円以下であるかもしれませんよね。
また人々は自分の信じていることや期待する情報に対して敏感で、それと反する情報を見過ごしやすいという傾向があります。
これは「確証バイアス」と呼ばれるものです。
極端な例ですが、人の判断力の不安定さを示す良い事例です。
だからこそ重要なのは課題を掘り下げ、現状がいかに混乱した状態なのか?を自覚することにあります。
■優先順位をつける
タスクの優先順位をつけよ!なんて事は、あなたも散々耳にしてきたかもしれません。
しかしこれまで行なってきたコーチングにおいて、普段は優秀な方が忙しさのあまり非効率なタイムマネジメントを行なっているケース、をよく見かけることがありました。
それは先ほどのアンカリング効果や、確証バイアスといったことも原因になっているかもしれません。
だからこそ、まずは自分の置かれている状況を自覚してから、その後にタスクの優先順位をつけてみて欲しいのです。
マルチタスクをこなさなくても、1つの課題を解決することで、他の課題の解決につながることはよくあります。
例えば先にカテゴリー分けした「6.組織の将来への不安」のような課題は、今すぐにどうこうできるものでもありません。
場合によっては「4. 身体の限界」に向き合わないと、物理的に動けなくなってしまう可能性もあります。
また「1.自分の価値観の再確認」を行うことで「2. 世代間のギャップ」や「5.変化への柔軟な適応」を促すかもしれません。
これはコーチングの中でよく見られる光景ですが、全ての課題を同じ机に並べてしまい、自ら余計な混乱を生み出している方は多いです。
「頭の中が忙しくなってきたな」と感じたら、まずは課題を整理してみてください。
そうすることで、できる限り多くの課題に対して影響を与えるものを冷静に絞り込み、取り組むことができるようになります。
■管理職に必要な真のスキル
管理職に求められるのは「いかに他人を勝たせるか?」という意識である、と私は考えています。
昔は自分が勝つこと(成果を上げる・成長する)を考えていれば、それが評価につながりました。
しかし部下を持ち、チームを持つには「勝つこと」の定義と方向性を改める必要があります。
これは経営者も同じで、ある段階までは自分1人で仕事を受注し、自分の収入が大きくなっていくことに満足する時期があります。
しかし一定の段階を超えると、更に仕事が増えて自分の力だけではどうしようもなくなる時期がきます。
そうなって初めて人を採用したり、外部との業務連携が増えてくるわけです。
その際に必要となるのが「関わってくれる人たちを勝たせる(稼がせたり、より良い状態にする)こと」です。
しかしこの連携がうまくいかず、いつまでもワンマンを貫き通そうとすると、いずれどこかで破綻します。
つまり成長の過程には自分だけではなく、他の誰かに意識を向けなければならない時が必ずあるということです。
確かに今は大変かもしれません。
しかし想像してみて下さい。
あなたの部下や関わった人が10年後に「〇〇さんと仕事が出来てよかった!」と思ってくれたらどう感じますか?
本当に素晴らしい功績を残す人は、単に仕事の良し悪しだけではなく、他人の作る実績に貢献した方だと私は考えています。
偉そうに言いましたが、私自身も日々そんな風に人と関わろう!と毎日自分に言い聞かせています。
今回の内容は、あなたにとってどんな気づきにつながりましたか?
もし気づきや感想があれば、是非こちらまでお送りください。
問い合わせフォーム
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頂いた感想を元に、今後もよりよい情報をお届けしたいと思います。
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
エグゼクティブコーチ
岩下 知史
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