2020年の日本の生産性、実際のところどうだった?

From 山極毅

 

前回まで、アベノミクス完成春闘の効果を検証してきました。

 

1960年から2015年までの55年間の推移を定量化し、

特に最後の5年で何が起きたのかを勉強してきました。

 

今回は、2016年から2020年までの直近5年間に、

日本全体の生産性がどのように変化したのかを見ていきます。

 

給料をアップさせる源泉は、従業員一人当たりの付加価値である、

というお話を前回までのシリーズでしました。

 

 

実際に、2016年から2020年までの付加価値額はどうなったのかを見てみると・・・

 

 

このグラフの青い曲線が、社員一人当たりの付加価値額です。

 

2014年くらいに700万円を突破して上昇傾向にありましたが、

2020年は再び700万円を切りました。

 

感染症拡大の影響で、世界中で生産が停滞したことが要因だと思われます。

 

 

ところが、社員一人当たりの人件費は、ほぼ横ばいになっています。

 

一部の業界では確実に給料が減っていた訳ですが、

全体でみるとトントンという意外な結果になっています。

 

ニュースを見ると、すべての業界が給料カットしているような印象ですが、

全体的にはなんとか維持されている、とみる方が正しそうです。

 

付加価値額は低下したのに、人件費が変わらないということは、

労働分配率は大きくなるしかありません。

 

図中のピンクの線ですが、またしても60%を突破してしまいました。

 

大企業も込みの母集団でこの状態ですから、中小企業の中には労働分配率100%

(社員に給料払ったら、会社に利益がゼロになる状態)になってしまった会社もあるはずです。

 

 

過去のトレンドをみると、日本の場合、労働分配率が60%以下のときには、

かなり好景気感が強くなるように思います。

 

2002年から2006年にかけて、労働分配率は低下しています。

 

その当時、それまで戦後最長であったいわゆる「いざなぎ景気」における景気回復期間

(1965年10月~70年7月:景気拡張期間57ヵ月)を上回ったと、話題になっていましたね。

 

2007年は、翌年におきたリーマンショック直前という時期でしたので、

この20年間ではかなり景気の良い時期だったと思います。

 

その時の数値を100としたときに、2015年と2020年の日本はどうなのかを

計算したのが、次の表です。

 

 

この表をみると不思議だなと思いませんか?

 

なぜなら、売上は13.8%、利益は15.8%も落ちているのに、

一人当たりの人件費は3.8%もアップしているからです。

 

普通ではないことが起きています。

 

これが官製春闘の効果と言えなくもないのですが、

企業の稼ぐ力は落ちているので、カンフル剤が必要になってきます。

 

 

そこで岸田内閣(国)が考えたのが、賃上げ促進税制です。

 

期間は2022、2023年度の2年間です。

 

現在、全雇用者を対象に、給与総額(ボーナス含む)を前年度比1.5%以上増やした企業は、

給与総額の増加額の15%分が税額控除となる制度はすでにありますが、

改正後はもっと大盤振る舞いになります。

 

改正後(2022年度以降)、給与総額を2.5%以上増やした企業には、

増加額の30%分の税額控除。

 

さらに、教育訓練費を前年比で10%以上増やした場合には、

追加して給与総額の増加額の10%分の税額控除が与えられます。

 

つまり、合計して雇用者全体の給与総額の増加額の40%分の税額控除が

与えられることになります。

 

所得控除ではなく、税額控除で40%ですから、かなりオトクな制度だと言えます。

 

40%の税額控除を狙って研修を充実させたい場合は、ぜひ弊社にぜひお問い合わせください。

 

各種研修メニュー揃っております。

 

(特に、部課長層の行動変容系は得意です)

 

すいません、以上CMでした。

 

 

話を戻しまして、採用拡大中の中小企業の場合、社員数が増えただけで

2.5%程度の人件費増は見込めると思うので、採用強化も今年はチャンスですね。

 

弊社では、独自開発したオンライン採用ツールも準備してますので、

ご興味のあるかたはお声掛けください。

 

今なら、3か月無料トライアルができますので、じっくり使ってから判断してください。

 

すいません、またまたCMでした。

 

 

本論に戻りますが、なんだかんだ言っても、

日本は国民を消費者だと考えているということなんだと思います。

 

つまり、物価が安いほどエライという考え方です。

 

一方で欧米では、国民を労働者として考えています。

 

つまり、給料が高いほどエライという考え方です。

 

労働は美徳、消費はつつましく、という日本固有の価値観。

 

労働は苦役、余暇は思いっきり楽しむ、という欧米の価値観。

 

この2つの差が、モノの値段に対する相場を決め、最終的に生産性があがらない

(モノの値段を上げられない)国の根本原因になっているように思う訳です。

 

 

大阪に行けば、ランチ490円とか当たり前で、大阪人が東京に来てランチ980円という看板をみると、

「東京は物価が高い!」と驚くことがありますが、

海外でコンビニランチですら、普通に1500円くらいします。

 

大阪のランチは、本当に安くておいしいです。

 

どうやって利益出しているんですかね?

 

という訳でして、安いものや安いサービスを求めれば求めるほど、

給料は上がらなくなるという循環に落ち込んでいるのでは?

 

という気がしているのは、私だけでしょうか?

 

 

あなたは、どう思いますか?

 

よろしければ、下の感想ページからご意見教えてください。

 

 

山極毅

 

 

P.S.

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます ^ ^

 

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