職場の心理的安全性を阻害する意外な原因

From 山極毅@東京の自宅より

 

 

以前のメールマガジンで、心の止まり木プロジェクト、

真面目な大人の保健室について書きました。

 

そして多くの反響をいただきました。

 

スタートアップの時のメンバーに協力したいという方、

 

若い人たちが気持ちよく働けるように恩返しをしたいという上級管理職の方、

 

あるいはこの方が適任ではないか?という推薦もいただきました。

 

非常にありがたく思っております。

 

 

そんな中ある方のメッセージに 目を奪われました。

 

そこにはこう書かれていました。

 

「心の止まり木、大変興味深く拝読しました。

 

まじめな大人の保健室、という取り組みにも関心を持ちました。

 

私自身、とある企業で総務人事関係の責任者を務めていますが、

組織内の心理的安全性が高まらないのが悩みの種です」

 

 

心理的安全性とは、 組織心理学者であるエイミー・エドモンドソン教授が1999年に論文

「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」

で提唱した心理学用語「psychological safety」が訳された言葉です。

 

その後、 Google のプロジェクトアリストテレスので研究成果が発表され、

さらに注目を集めました 。

 

 

私がこの方のメッセージのどこに興味を引かれたか?

 

それは「組織内の心理的安全性」という言葉です。

 

心理的安全性というのは、組織に所属するそれぞれの人たちの気持ちの問題です。

 

彼らが集団を形成することによって、組織というグループができます。

 

その集団が気持ちよく仕事ができるかどうか?という指標の一つとして、

心理的安全性が語られるケースが多いように思います。

 

 

多くの人事部は組織の心理的安全性を高めようとして、 様々な取り組みをしています。

 

ところがこのコメントをくれた方のように、

その取り組みが成功するケースというのはまれなようです。

 

なぜこのようなことになってしまうのか? ということを考えてみたいと思います。

 

エドモンドさんの研究結果によれば、心理的安全性が低くなる原因として、

以下4つの不安があります。

 

(1)無知だと思われる不安(Ignorant)

質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのかと思われないか」と不安になり、

その結果、気になることがあっても質問しづらくなる傾向。

 

(2)無能だと思われる不安(Incompetent)

ミスや失敗した時に「仕事ができないと思われるのでは」と不安になり、

自分の失敗や弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになる傾向。

 

(3)邪魔をしていると思われる不安(Intrusive)

自分が発言することで「話の邪魔をしていると思われないか」不安になり、

提案や発言をしなくなっていく傾向。

 

(4)ネガティブだと思われる不安(Negative)

改善を提案したくても「他の人の意見を批判していると否定的に捉えられるのでは」

と不安になり、現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなったりする傾向。

 

注目してもらいたいのはこれら四つの要因に、全て「不安」という単語がついてることです。

 

 

不安とは 個人の感情です。

 

一方で、人事部が考える課題は組織のあり方です。

 

心理的安全性が低い原因が、組織全体の雰囲気にあったとしても、

根っこにあるのは個人の感情であることに注意しなければいけないと思います。

 

例えば、

 

質問や確認をしてもそれが受け入れられる日常。

 

ミスや失敗をしても周囲がリカバーしてくれるチームワーク。

 

自分の発言がたとえ的外れであっても建設的な議論に結びついていくという風土。

 

全ての意見にポジティブな面を見出そうとする対話の技術。

 

これらはすべて、組織文化組織風土といわれるものを表現しているように見えるかもしれません。

 

しかし大事なことは、最初にそういう行動を実際に起こす人が必要である、

ということなんです。

 

心理的安全性が確保できていない組織の中で、

全ての人が最初の一歩を踏み出す勇気を持っているとは考えにくいです。

 

組織開発とは、一人一人が自分の行動を少しずつ変えるという順番でしか起きない、

ということが言えるのではないでしょうか?

 

 

自分の行動を変えるということは、インプットだけではなく

アウトプットをしなければいけないということです

 

ここで言うアウトプットとは、

自分が今まで取っていた行動を変えるということに他なりません。

 

 

例えば

 

分からないことを分からないときちんと発言する勇気。

 

ちょっとしたミスや失敗をした時に、すぐに上位者に報告する勇気。

 

何かおかしいなと思うことがあったら、すぐにそれを指摘する勇気。

 

これまでずっと続いてきたやり方に対して、改善の提案をしようとする勇気。

 

このような個人の行動に加えて、それを受け入れる周囲の人たちがいること。

 

この二つがあって初めて、組織の心理的安全性は高まります。

 

組織内でアンケート調査をして、スコアを分析して、問題点を抽出する。

 

ここまでは、どこの会社もやってると思います。

 

大事なのは、最初の一つの変化を起こせる個人を、どれだけ増やせるか?

ということにかかっているのだと思います。

 

 

組織の心理的安全性を高めるためには、一人一人の人間の中にある

恐れの感情と向き合う必要があります。

 

恐れの感情は時として固定観念と結びついて、

多くのビジネスパーソンの行動を制限しています。

 

これを紐解いて、ほぐして行って、

実際に行動を取ってもらうにはある程度の時間が必要になります。

 

恐れの感情は、人間の生存本能と結びついています。

 

生物として生きながらえていくためには、

危ないものに近寄らないというのが最も大事だからです。

 

この生存本能が、職場の心理的安全性を高められない真の原因になっているわけです。

 

だから、この話は難しい。

 

心理的安全性を向上していくためには、個人個人の感情に向き合うカリキュラムと、

個人のチャレンジを伴走して支えることができるビジネスコーチが必要なのではないでしょうか?

 

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https://smp.keieijinji.co.jp/contact/

 

 

山極毅

 

 

P.S.

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます ^ ^

 

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