正しい人材管理システムの選び方
From 山極毅
あなたが社長なら、どちらの人材戦略が好みですか?
1)その仕事で活躍できる人材を探す
2)人材が活躍できる仕事を探す
この質問には正解はありません。
仕事がはっきり決まっていれば、1)が良いケースが多いでしょう。
主に大企業が好む方法です。
今はやりのジョブ型に近いです。
反対に、中小企業では、限られた人的リソースで多くのタスクをこなす必要があるため、
人材の卓越性をどこまで引き出せるかが成功のカギです。
その時に有効なのが、2)の方法です。
最近では、シニア人材の活用の課題を抱える大企業でも、2)の手法が注目され始めました。
1)の戦略をとる場合は、いわゆる人材管理、ポジション管理、経歴管理、
評価履歴管理等の管理系ツールと相性が良いです。
それに対して2)は、管理系のツールと相性が悪いです。
現在日本に出回っているほとんどの人材管理ツールは、
1)を指向しているものが多いので、中小企業(および“超”が付かない大企業)では、
ほとんどの場合人材管理ツールを使いこなせていないようです。
会社の成長フェーズ、人材戦略によって、最適な人材管理システムは変わってきます。
今日のメルマガでは、人材管理システムを選ぶときの注意点についてお話します。
――――――――
ナビゲーター
今回のテーマは、正しい人材管理システムの選び方です。
山極さん、人材管理システムには、さまざまなものがあるのですか?
山極
大企業では、自社開発でシステムを作ることがあります。
自社開発できない中小企業は、外のベンダー、IT系の専門業者が作るシステムを
購入して使うことが多いです。
人材管理をする際には多くのデータがあったほうがいいのですが、
どのようなデータを取るかはシステムによって違います。
活用するためには、数値や文章をしっかり整えて保管するデータベースが必要です。
そのデータベースを使いながら、タレントマネジメントを行っていきます。
その際に、ツール選びは非常に大事なポイントになります。
ナビゲーター
外部導入ツールと、自社開発ツールの違いはありますか。
山極
ツールには、いろいろなパターンのものがあります。
私の前職では、自社開発ツールがありましたが、結果的にやめて、
外からサービスを購入することになったので、両方の良し悪しが分かっています。
大企業といわれるレベルでも、自分の会社ではなかなかツールを作ることができません。
人事部と情報システム部が一緒になって、かなり長い時間仕事をしないと、
システムを作ることができません。
自社開発できるのは超大企業だけです。
超大企業ではない大企業では、自社開発は難しいですね。
ナビゲーター
専門的なITの技能を持っているところにお願いしたほうがいいのですか?
山極
そうするか、そこで作っている製品を購入して使うことです。
そこにいろいろな個人のデータを入れていきます。
ナビゲーター
IT専門の企業が作ったソフトは、
かゆいところまで手が届かないことがあるのではないでしょうか。
山極
結局のところ、ツールは手段です。
その人が持っている能力を把握して、会社の新しい仕事やプロジェクトがあったときに、
ふさわしい人を選んで、適材適所に配属することが最終的な目標です。
この目的に対してツールがありますが、多くの会社はまずツールを見てしまっています。
ITベンダーがシステムの営業に来ても、目的がしっかりしていないと選べません。
この点が、ツールの選び方を非常に難しくしています。
ナビゲーター
確かに漠然と探しても仕方がありません。
IT専門の企業が作っているものは、いろいろなことができるのではないでしょうか。
山極
いろいろなことができますが、機能が多いものが良いとは必ずしも言えません。
例えば10個の機能があっても、使うのは1個か2個です。
極端な話、本当に必要な3個程度があれば十分です。
ただ、システムを作るには人員も費用も時間もかかります。
システム会社側は高く売りたいので、多くの機能を付けます。
機能が多いと、取扱説明書を見ないと分からない、ということが避けられません。
テレビゲームやGoogleには、取扱説明書はありません。
直観的に何をすればいいか分かるようになっています。
シンプルにしないと使い続けられません。
最初に言ったように、データをそろえて、必要な場所に必要な人を配属することが目的です。
その目的を達成するために、一番大事なのは継続することです。
以前、IBMの人工知能であるWatsonを導入するコンサルチームと仕事をしたことがあります。
当時、私たちが持っていたデータはWatsonを使わなくても扱えると判断し、
使わないという結論になりました。
そのときのデータは、過去6年分、毎月末、世界の18万人分という膨大な量でした。
それでも、WatsonやAIは必要ないという結論になりました。
そのぐらい、データの量と質を高めるのは難しいのです。
継続できて初めて形になります。
複雑では、継続できません。
ナビゲーター
簡単で、誰でも使えるものでないとなりません。
担当者が変わったときにも継続しやすくて、感覚的に誰でも使えるような
分かりやすいツールであることが必要ですね。
山極
選ぶときに、そこまで見抜けないと思うので、できればコンサルタントなど、
専門家に相談をしたほうがよいです。
また、システム導入専門のコンサルタントもいます。
IT系の企業がシステムを作って、それを導入したい会社があるとします。
そこに意識の差ができてしまうことがあります。
ナビゲーター
エンジニアと求めている人をつなぐ、橋渡し的な人が必要になることがあります。
山極
導入を専門としているコンサルタントもいるので、そちらに相談する方法もあります。
気を付けなければならないのは、決まった商品を売るために契約している
コンサルタントもいるので、相談相手の選び方には注意が必要です。
ナビゲーター
利害関係がない人に相談することが、最も確実ではないでしょうか。
山極さんは、フレキシブルに対応されていますよね?
山極
いろいろなシステムの情報と自分の経験を照らし合わせて、アドバイスができます。
それぞれのシステムで目指していることが違うので、自分の会社がやりたいことを選んで
マッチングさせるというのは経験がないと難しいと思います。
経験を持った人に相談をするのが良いと思います。
以前ある会社が、人材管理ツールの導入を検討して、色々な会社に問い合わせをしたそうです。
その時、電話の向こうの営業担当が言った言葉が、象徴的です。
「弊社のツールでどのようなことをされたいのですか?」
ツール提供会社からしたら、とても聞きたい質問であることはよく分かりますが、
相談している立場にしてみれば、
「いや、じつは自社の課題が実際のところよく分かっていないのです。
だから色々相談しているのですが・・・」というのがホンネだと思います。
人材ツール導入の前に、最初の課題設定から相談に乗ってくれる相手だと、
お客さんも助かると思うのです。
IT企業がつくる人材管理ツールは、手段がすごすぎて目的が霞むことが良くあるので、
気を付けたいところですね。
山極毅
P.S.
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