採用選考の適性検査WEB化で、替え玉受検が横行!?
From 山極毅 丸の内のオフィスより
就職活動中の若者が、適性検査で替え玉に受検を依頼していること、
またこのような代行サービスまで存在していることがNHKニュースで報道されていました。
その若者の主張は、「いつも適性検査(基礎学力検査と思われる)で落ちてしまう。
学力ではなく人柄を見て欲しいので、代行を依頼しました」というものでした。
ツイッターでは、
「替え玉に依頼して関門を突破する、という人柄を見て欲しいというのか?」
「フェアな競争を避けている時点で、面接を受ける資格なし」
と言ったような厳しいコメントが多いように思います。
あなたは、どのように感じますか?
私が前職の自動車会社で採用担当部長をしていた時、
新卒学生のエントリー数は年間7000人でした。
なかには、替え玉受検をしていた人がいたかも知れませんが、
当時の技術ではそれをモニタリングする術はなかったように思います。
仮にそういう行動で適性検査を通過して対面面接の機会を得たとしても、
当時の選考基準の厳しさを考えると、結果的に入社は難しかったと思います。
私は、人柄を見て欲しいという考えには共感できますが、
だからと言って替え玉受検はやはりNGだと思います。
会社は、学校と違って生活指導はしませんし、
求職者を信頼してWEBでの検査を実施している訳ですから、
替え玉受検は会社への裏切りということになってしまいます。
一方で、企業の採用担当としては、考慮すべき点もあります。
第一に、なんのために学力検査をしているのか?ということです。
多くの企業では、対面面接に進んでもらう候補者を選定するための、足切りに使っています。
ただ、私の経験上(検証していないのであくまで感覚的な話ですが)、
ビジネスで成功することと、基礎学力にはさほど強い相関関係はありません。
基礎学力と相関が強いのは、組織の指示に忠実に従って行動する能力です。
いわゆる有名な大企業で最近起きている種々の不正問題を見てみると、
組織を守るために顧客を蔑ろにするという共通の構図があるように思います。
ビジネスが上手く回っている時は、組織の目標に向かって進むことはもちろん必要ですが、
厳しい状況を潜り抜けて本当の成功を収めるためには、
頭の良さがかえって裏目に出てしまうことはよくあることです。
学力検査を重視する企業は、忠実な組織人を求めている傾向が強い、
といっても言い過ぎではないでしょう。
(価値観の問題であり、良し悪しではありません)
もう一つ考慮すべき問題は、サイレントお祈りに代表されるような、
面接選考でのフィードバックがほとんど行われないという点です。
たくさんの企業を受験しても、なんのフィードバックもなく不合格通知を
受け取り続けることで、かなり精神的にダメージを受けている学生さんが大勢います。
心ある人事部や採用担当の方は、可能ならすべての求職者にフィードバックをしたい、
と考えていると思います。
しかし、残念ながら現在の多くの採用管理プロセスでは、不採用者へのフィードバックは
優先度がめちゃくちゃ低いテーマになっていると思います。
私も会社員時代は、組織の方針にしたがって採用活動をしていましたが、
今、私は自分でルールや仕様を決められる立場にあります。
結果的に、弊社で開発したオンライン採用ツールには、学力をみるための適性検査はありません。
エゴグラムで行動や思考のクセを把握するようにはしていますが、
これはあくまで組織や業務への適合性を確認するために行っています。
また、実際のビジネスの現場で必要なことは、基礎学力ではなく、文書作成能力、
コミュニケーション能力、自己認知能力の3点です。
3つ揃えば人財です。
1つ欠けると人在。
2つ欠けると・・・、会社もその人もかなり不幸な結果になることが多いです。
現在の人材採用のプロセスではほとんど重視されていませんが、
不合格になった人へのフィードバック機能も搭載しています。
(システムが自動でフィードバックを作成してくれます)
理由は、BtoC企業であれば、不合格にした候補者も
いつかは顧客になる可能性があるということ。
また、現在アメリカで既に重視されてきていますが、
採用選考プロセスを顧客(求職者)体験として重要視することが、
優秀な人材を引き付けるために欠かせない要素であることが分かってきたからです。
不合格となった候補者へ合否の連絡をせずに、自社の効率ばかりを重視する企業に、
継続的な発展能力があるとはとても思えませんからね。
ところで、人柄をどのように見ているのか?
これは、オンデマンド型の動画面接で、話し方、顔つき、動画収録前の準備状況等を
モニターしています。
実際に試してみると分かりますが、動画からの情報量はとても貴重ですよ。
ということで、替え玉受検はとても許される行為ではありませんが、
企業の採用プロセスにも改善の余地はたくさんあるぞ!
ということを考えさせてくれるニュースだったと思うのです。
山極毅
P.S.
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P.P.S.
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