性悪説と機械学習

From:山極綾子

 

 

「ものづくりの世界は、性善説から性悪説へ考え方を変えた時点で

システムが大きく変わりましたが、ITについても

そのような時代がやってくるのではないかと感じました」

 

確かに…!

 

機械学習は過去のデータを分析して、そのルールを学習するだけだから、

そこに人間の悪意が隠れていたら、きちんと学習できないし。

 

そういえばこの前読んだ論文に、敵対的データに対応するための方法とか書いてあったなあ。

 

 

以前メルマガの感想で、上のような感想を送っていただきました。

 

ものづくりの性悪説に基づくシステムと言えば、厳しいノルマとかが当たるのでしょうか。

 

(ものづくりの世界については全くの専門外のため、

おかしなことを言っていたらすみません。)

 

では、機械学習で言うところの性悪説と言えば、人間の悪意が含まれたデータを

そのまま学習してしまうこととか、

あとは敵対的データなどが挙げられるような気がします。

 

人間の悪意が含まれたデータについて具体的に考えてみると、

そもそも学習させるデータに故意に偏りを生じさせていたり、

もしくはうそのデータを混ぜてしまうこともあります。

 

そして機械学習は、何も対策を打たなければ、

それらの悪意の影響をそのまま受けてしまいます。

 

どうやってそれら悪意を防ぐか…というシステムが必要になるはずです。

 

 

また、敵対的データというものが、特に画像分析の分野であるのですが、

これが(個人的には)とても面白いのです。

 

 

(画像はEXPLAINING AND HARNESSING ADVERSARIAL EXAMPLESという論文から引用しています。

論文はこちら:https://arxiv.org/pdf/1412.6572.pdf

 

この図の中の左の写真がもともとの画像で、もちろんパンダの写真です。

 

左の写真に、真ん中に示されているノイズ画像をほんのちょっと

(この画像の要素を0.007分だけ)足し合わせて右の写真が出来ています。

 

人間の目から見れば、右の画像も間違いなく、パンダにしか見えません。

 

ですが機械学習には、この右の画像はテナガザルに見えるらしいのです。

 

しかも、その「テナガザルである」確率が99.3%、とかなり頓珍漢なことを、

自信たっぷりに予測していることになります。

 

しかもその予測をするのは、ニューラルネットワークを使って学習されたモデル

ということなので、本当にびっくりです。

 

 

こういった「AIが騙されてしまう」データを敵対的データと呼んでいて、

もちろん、これらに対応するモデルがたくさん開発されています。

 

ちょっとした悪意にも負けないように、そもそも悪意が入る隙の無いようなシステムが、

ITでも求められているのかもしれません。

 

 

山極綾子

 

 

P.S.

ちなみに途中の図のパンダの写真(左のもの)。

 

AIは正しくパンダと識別できるのですが、その自信(確率)の高さはたかだか57.7%です。

 

何でよ!?と突っ込んでしまいたくなります。。。

 

 

P.P.S.

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます!

 

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