人事異動でありがちな間違い、あなたの会社ではどうですか?

From 山極毅 丸の内のオフィスより

 

 

少し規模の大きい会社になると、定期人事異動という制度があります。

 

会社での経験値を増やすために、2~3年程度で新しい部署に配置転換することを言います。

 

 

ある企業での話です。登場人物は谷川(仮名)さん。

 

谷川さんは、エンジニア系の仕事現場から5年前に広報部に異動。

 

その2年後(今から3年前)に、人材育成の部署に異動しました。

 

そして来月から、出身部署のエンジニア系の現場に戻るという辞令を受け取りました。

 

谷川さんは、弊社のコンサルティングを導入する責任部署におられるので、

昼休みに食事を一緒にいただきながら、色々とお話をしていました。

 

 

食事のメンバーは、谷川さん、谷川さんの上司、そして私という3人でした。

 

食事が終わるころ、谷川さんが口を開きました。

 

谷川さん「いや~、しかしこの3年間、本当に辛かったです」

 

私「そうですよね、自分がこれまで蓄積してきたことが全く使えない職場は、

さぞかし辛かったでしょうね。。。」

 

この会話を横で聞いていた谷川さんの上司は、とても意外な顔をしてこう言いました。

 

上司「えっ、そんなに辛かったの?」

 

谷川さん「はい、辞めようかと思う時もありました。。。」

 

上司「(絶句)。。。」

 

期せずして谷川さんは、3年間言いたくても言えなかった偽らざる心境を、

異動直前に「告白」することになったのです。

 

 

上司にとっては、谷川さんの告白はとても意外だったようです。

 

しかし、私には谷川さんの気持ちが、ある程度推測できていました。

 

私は社外の人間ですから、谷川さんとは2週間に1度くらいしか会うことはありません。

 

一方上司の方は、谷川さんといつも職場で会話しています。

 

毎日顔を合わせているのにも関わらず、谷川さんの本当の気持ちを

3年間ずっと知らないで過ごしてきたのですから、驚くのも無理はありません。

 

 

しかし私は、谷川さんの気持ちがある程度分かりました。

 

読心術を使った訳ではありませんし、谷川さんのSNSをチェックした訳でもありません。

 

私は、人事異動後の谷川さんの気持ちを、どうやって知ることができたのか?

 

実はこの会社、社員の個性把握のため個性心理学の一種であるエゴグラムを導入しました。

 

私は、エゴグラムによって谷川さんの思考行動のクセと、

異動後の気持ちを類推することができたのです。

 

 

谷川さんは、積み上げ型の仕事で成果を発揮するタイプでした。

 

なので、まったく新しい職場に移動すること自体、

離職を考えるほどストレスになっていたわけです。

 

あなたも、異動や転職した直後、ツライ気持ちで仕事をこなしていたことはありませんか?

 

または、異動前の仕事では活躍していた人材が、

異動した直後から活躍できなくなってしまった事例を見たことはありませんか?

 

個性分析から得られた谷川さんの成長パターンは、

「決まった枠組みのなかで経験を積みながら成長していく」というものでした。

 

多くの企業、特に製造業ではこのタイプの方が多いようです。

 

この経験積み上げ型が得意な人に、まったくの新天地への異動を指示する場合には、

特に注意が必要です。

 

過去、いくつかの企業で似たような事例を見てきましたが、

異動させる会社側には悪気はありません。

 

多くの場合、「異動させて3年経過するけど、なかなか成果が出ていないから、

本人の気分転換のために、別の部署にさせようか・・・」などという理由で

異動が決まっていきます。

 

この手の異動には科学的根拠はありません。

 

あるのは「上司の意向」「人事部の慣例」「形だけが守られている3年たったら異動ルール」などです。

 

谷川さんと似たような個性の場合、よほど向いている仕事に当たらない限り、

3年間の実務経験で成果がでるのは稀です。

 

つまり、本人にとって「やっと色々分かりはじめて、さあこれから!」という時に、

再び自分の経験が全く通用しない世界に異動させられるわけです。

 

 

こういうことを繰返していくと、組織の生産性は徐々に落ちていきます。

 

生産性の低下は、社員のストレス値に現れます。

 

つまり、社員にとってストレスが掛かりにくい人材配置を実現できれば、

組織の生産性も徐々に向上していくはずです。

 

ストレスのない人材配置のヒントは、次の会話の中にあります。

 

ランチの最後に、谷川さんが私に質問をしてきました。

 

谷川さん「これまでにも色々な個性診断な、研修を受けてきましたが、

いつもクリエイティブさに課題があると言われるのです。どうしたらいいでしょうか?」

 

私「谷川さんが創造性を身に付けるには、100個の基準や手順書を詳しく理解し、

101個目のケースに応用していくことです」

 

谷川さん「なるほど、それならできる気がします!」

 

私「もっと多くてもできるでしょう?

1000個の詳しい理解があれば、1001個目は過去の事例を組み合わせて、

だれも思いつかないクリエイティブな方法を生み出せるはずです」

 

谷川さん「それは、めちゃくちゃ楽しそうだし、

出来る気がします。なるほどそうすれば良いんですね!」

 

私「この方法が、谷川さんの個性に一番合っています。

そして、いわゆる思い付き系の創造性よりも、ずっと成功確率が高くかつ効果もあるでしょう。

これこそ、谷川さんが目指すべき創造性なんですよ」

 

 

いかがでしょうか?

 

私は谷川さんの個性とは正反対なので、1000個の案件をくまなく理解することは、

とてもできません。

 

ストレスになります。

 

でも谷川さんの場合、このような地道な作業こそ、

喜びを持って取り組むことができる仕事のやり方なのです。

 

このやりとりの一部始終を黙って聞いていた谷川さんの上司の方が、

食事が終わってから私にこんな話をしてくれました。

 

上司「さきほど創造性の話をしていた時の谷川さんの眼が、

力強くランランと輝いていたことに驚きました。谷川さんのあんな眼を見たのは初めてです」

 

 

心理学を使って適材適所を実現する方法は、夢物語ではありません。

 

複雑なAIプログラムを導入する必要もありません。

 

コツさえつかめれば、意外とカンタンです。

 

社員の個性を理解し、特性に合わせた仕事のアサインメントをしさえすれば、良いのです。

 

その時に必要なのは、交流分析理論のように

多くの研究者が仕事やカウンセリングで使っている、確かな理論ではないでしょうか?

 

 

山極毅

 

 

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