スーパーマンをやめた上司の話

From 山極毅

 

 

今日は、ある顧客企業で実施している、管理職研修からのお話です。

 

部課長層を対象にした半年間のプログラムで、

マネジメントスキルの向上を目的としたプログラムです。

 

参加者総数は302名で、これまでに220名の方々がプログラムを修了し卒業されました。

 

研修は4人一組のチームをつくり、完全リモートで行います。

 

最近は、自宅から参加される方も増えてきました。

 

会社から参加される方も、おひとりに1台のタブレット端末が準備されていて、

個室から受講する形なので、感染症対策も万全です。

 

研修を主管されている人事部門の推進力は、本当に強力で見習うべき点が多いです。

 

 

研修開始当初は、1回の参加者が20名程度の集合研修で実施していたのですが、

時代の要請により現在のような運用スタイルに変化してきました。

 

直接顔を合わせられないというデメリットはありますが、

1回の講義の参加者が4名と少数精鋭化されたので、

参加者ひとりひとりの発言機会が増加しました。

 

参加者にとって、より深い学びが出来る環境となったわけで、大きなメリットになりました。

 

 

この研修は、管理職が陥りがちな心理的ブロックを個人別に明確化したうえで、

個人別の行動計画を立案し、それを職場で実践しつつ2か月に1度

みんなで集まって成果を報告するという、きわめてオーソドックスな手法を採用しています。

 

管理職の心理的ブロックは、人間的な感情と結びついて固定観念化します。

 

たとえば、

 

・忙しい部下に仕事を依頼すると、嫌われる。

 

・会議で間違った意見を述べると、馬鹿にされる。

 

・部下の質問にすべて答えを提示できるのが、良い上司である。

 

3つめのなんでも知っているスーパーマン的上司像は、

多くの管理職が持っている典型的な固定観念です。

 

 

先日、この固定観念にチャレンジしたある管理職の方(Kさん)が、

とても素晴らしい成果発表をしてくれたので、今日はそれをご紹介しようと思いました。

 

Kさんの強力な固定観念は、以下の2つでした。

 

・管理職は、部下より何でも出来るスーパーマンでなければならない。

 

・管理職は、部下に個別具体的な指示を与えなければならない。

 

この2つの固定観念によって、多くの仕事をご自身で処理する、

あるいは指示することになってしまいました。

 

社外との調整を行う責任重大な部署ですから、この気持ちはとてもよく分かります。

 

一方で、自分の業務負荷が増大することや、

なにより部下が育たないという悩みも持っていたのです。

 

 

人間には、頭で考えて理性的にはわかっていても、行動に移せないことがあります。

 

この心理的ブロックの理由が「感情」であり、代表的な感情は「恐れ」です。

 

仕事を部下に任すと、

 

→部下は、失敗して自信を失うかもしれない

 

→仕事の処理が遅くなるかも知れない

 

→上司として責任を取らなければいけない

 

→会社に大きな損害をもたらすかもしれない

 

→先方からクレームが来るかもしれない

 

このような恐れの感情が背景にはあります。

 

この研修では、人間の感情は理性よりも強いこと、

そして恐れの感情を持つことはぜんぜん恥ずかしいことではなく、

むしろ生物の生存本能として当然であることを伝えます。

 

いったん、弱い自分を直視してもらい、それを受け入れてもらうことから始めます。

 

そして、このメカニズムを理解してもらった上で、

これまでとは違う行動の目標を立ててもらいます。

 

 

Kさんは、思い切って部下に仕事を任せてみる、という目標を立てて行動に移しました。

 

結果は、どうなったのか?

 

仕事を任された部下たちは、最初は面食らったようでしたが、徐々に自分で考えて

自分で行動するようになっていきました。

 

さらに、今までなら部下はKさんに指示を求めてきていたのですが、

部下同士で相談して良い方法を検討するような動きが見えるようになりました。

 

社外との調整や打ち合わせも、部下たちが直接行うようになりました。

 

社外から質問がきた場合も、Kさんは関与することを止めました。

 

そうすると、これまでKさんのところに来ていた社外からの問い合わせは、

すべて部下のところに直接行くようになってきました。

 

Kさんが恐れていたような、業務の遅延、失敗、損害の発生は一切なく、

部下たちは自分の能力に自信をもち、より高度な仕事もこなしていけるようになりました。

 

部下たちがより高度な仕事をこなすことで、若手社員への社外からの信頼度が向上し、

Kさんはこれまでにできなかった、ある仕事に注力できるようになりました。

 

 

Kさんは成果発表の場で、

 

「マネジメントとは、部下の成長と達成感を感じられる環境を作る仕事である」と

結論付けられました。

 

このようなマネジメントの定義は、ビジネスリーダーのための啓発本を読めば、

どこにでも書いてありそうなフレーズです。

 

しかし、Kさんのように、ご自身の体験から教訓を得ることができれば、

これまでの間違った固定観念を捨てることができます。

 

本を読んだだけでは、固定観念の根底にある「恐れの感情」を払しょくできないので、

なかなか行動変化につながらないのですね。

 

スーパーマンであることを止めたことで、ビジネスリーダーとしてKさんの未来は、

より大きく拓けたのではないかな?

 

と私は思いました。

 

 

もし、あなたの会社でも、ビジネスリーダーのマネジメント能力向上を実現したいのであれば、

私がお手伝いできることがありそうです。

 

お気軽にご相談ください。

 

 

山極毅

 

 

P.S.

今日も最後まで読んでいただきありがとうございます ^ ^

 

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