この言葉にピンときたら。。。(経営人事メールマガジン)
From 山極毅 丸の内のオフィスより
NETFLIXで、面白い映画を見つけました。
BGM代わりにこの映画を流すほど、気に入ってしまいました。
映画のタイトルは、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
新進気鋭のフレンチのシェフ(カール・キャスパー)がオーナーと対立し、店を飛び出してフードトラック(屋台)を始めます。
フロリダからロサンジェルスに屋台で移動するうちに、本来の自分を取り戻していく、というお話しです。
このストーリーの途中で、屋台に仲間(マーティン)が加わります。
その時の彼の動機が面白いんです。
マーティン「No.2が必要でしょ?私も一緒に手伝います」
カール「給料は出ないぞ」
マーティン「問題ありません。前から、フードトラックやってみたかったんです!」
つまり、好きなこと・楽しいことをやれるなら、給料はいらないと言っているわけです。
この話は、企業の採用活動にも通じます。
あなたの職場に、働く理由があるかどうか
人間は感情の生き物と言われています。
感情で決めてから、理性が理由付けをして衝動的な行動を正当化するそうです。
身近なところでは、衝動買いですね。
「いやいや、欲しいから買っちゃった」という例のアレです。
心あたり、ありますよね?
これを採用の面から見てみるとどうなるか?
あなたの会社の採用ホームページに、働く人のメリットが書かれているかどうか?
が大きなポイントになるのです。
人事業界でメリットとは、福利厚生を指すことが多いです。
有給休暇制度とか、施設の利用権とか、寮社宅の類です。
でも、これらは感情をくすぐるメリットではなく、理性に訴えるメリットです。
実際に、休暇や施設、寮社宅にひかれて入社した社員であふれかえったら、会社は大変なことになりますよね?
でも、多くの会社がこのメリットを強調しています。
なぜでしょうか?
理由はおそらく、「この会社で働くことの意義」を伝えきれていない
ことでしょう。
これを掘り下げるには、かなりの労力と手間を要します。
なので、ほとんどの会社がこれをやっていません。
そして、こんなコトバを採用ページに書いてしまいがちです。
「当社が求める人材像は・・・」
ビジネス交流会に行ったことがある人なら、
こんな経験をしたことがあるはずです。
「弊社の製品は・・・」とか「私の提供しているサービスは・・・」
等々自分のPRばかりをする人たちがいます。
根底にあるのは、
「ウチの商品はこんないいところがあるんです。
買ってくれればきっと気に入ります!」
という主張です。
はっきり言って、私はこういうセールストークは超苦手でした。
あなたも、おそらく同じ気持ちになるのではないでしょうか?
人間は、買い物は好きだがセールスは嫌い、な生き物だそうです。
求める人材像も、
「ウチの事業に必要な人物像を理解して、
もしあなたがそれに該当すると思ったら、
どうぞ応募してきてください」という思想です。
私は以前、この人材像をつくる仕事をしていましたが、
この方法は大企業でしか使えない手法だなと、最近つくづく思います。
大企業は仕事の内容は良く分からないけど、
ある種の憧れで就職したい学生が集まります。
つまり、採用の作業よりも、選別の作業が中心になるわけです。
採用担当者は、応募時点でのアンマッチをなるべく解消したいと考えるので、
求める人材像や求める人物像を必死に説明するわけです。
先ほどの映画の例でもし、
フードトラックの従業員求む
経験者優遇
調理有能な方
でも無給です
環境は良くありません
と求人を出したところで、誰も応募してこないでしょう。
働く理由が見えないからです。
代わりに例えば、
フードトラックの従業員求む
自分が作りたい料理をアメリカ中の人に直接届けられます
お客様の反響が、ダイレクトに自分に返ってくるのがフードトラックの良いところ
自分のイマジネーションを、誰にも邪魔されずに料理にできます
多くの人に喜んでもらえる移動式レストランで働いて、
あなたの料理人としてのキャリアにオモシロイ経験を追加しませんか?
のような求人広告であれば、
ちょっと何か物足りない日常を送っている料理人には、かなり響くでしょう。
「求める人材像」という単語が、あなたの会社の採用ホームページに出ていたら、
ちょっと立ち止まって考えてみても良いかもしれません。
採用コンサルの人たちが、
「求める人材像を定義してから、採用活動を開始しましょう」
とアドバイスしますが、私の経験上、この方式で上手く採用できている会社は、
ほんの一握りです。
職場の魅力を棚卸して、
「この会社で働く理由」を新入社員の「働きたい本能」にアピールしてみては?
山極毅
P.S.
弊社の顧客企業で、メチャクチャ採用を上手くやっている会社がありますが、
やはり「求める人材像」というコトバは出てきません。
その代わりに、その会社で働くメリットが、延々と語られています。
成功のポイントは、学生や求職者の感情を動かすということのようですよ。
その時の職場写真は、おそらくこんな感じになるでしょう。
「お客さんとのホンモノの触れ合いが、
あなたの料理への情熱をかきたてる職場です」
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