人材の成長度に関係するメタ認知能力とは?

イチロー選手の知られざる能力

2019年3月22日、アメリカ大リーグ、シアトル・マリナーズに所属するイチロー外野手が、ついに現役の引退を表明しました。

 

28年もの選手生活を見守ってきたファンとしては「ほんとうにお疲れさまでした!」と、これまでの活躍を称えたい気持ちです。

 

イチロー選手のキャリアは、1992年にドラフトでオリックスに入団したときから始まります。

 

新人王を獲得したばかりでなく、プロ野球史上初の200本安打を達成したり、7年連続首位打者を記録するなど、華々しい活躍をします。

 

史上初の日本人野手として大リーグのシアトル・マリナーズに移籍したあとも、初年度からアメリカンリーグのシーズン首位打者と盗塁王を獲得。

 

新人王と年間MVPにも輝くなど、歴史的な快挙を成し遂げました。

 

これだけ長い間、現役の第一線で活躍してきたイチロー選手の1番の特徴は、常に自分の実力を客観視し、上を目指して成長し続けてきたという点でしょう。

 

イチロー選手のように、自己を客観視する能力が高い人のことを、脳科学では「メタ認知能力」が高いと言います。

 

企業が人材を採用する時にも、この「メタ認知能力」が高い人を選ぶと成長し活躍する人材に育つ可能性が高いと言われています。

 

社員の自己理解力を高める方法とは?

 

人が大人になったあとも成長を続けるためには、まわりからの意見やアドバイス、フィードバックを素直に「自分ごと」として受け止められることが必要です。

 

ということは、「メタ認知能力」が低い人は、人の意見を聞かずに今いる位置にとどまってしまう可能性が高いのです。

 

以前に私が勤務していた会社で、部長職だったときのことです。

 

あるとき、私の部下である課長が「自分のことを部下がどう思っているかヒアリングしてほしい」と頼みにきました。

 

この課長は客観的に見た自分を知ることで、さらに成長するための要素を知りたいと考えたのです。

 

しかも、1度だけではなく、継続的に1年間に3回もやって欲しいと求めてきたのです。

 

そもそもこの課長は、社内でも上位10%に入るほどのデキる人材でした。それでも、自分で自分の課題に気づくのは難しいと考えたのでしょう。

 

こうして自分を高めることを怠らなかったこの課長は、その後、活躍が認められて重要なプロジェクトの責任者を2年経験した後、アメリカに転勤となりました。

 

この課長は、自分の「メタ認知能力」に間違いがないかどうか、上司を使ってチェックする必要性を感じていたということです。

 

また、私が提供している「多面貢献評価」を取り入れている企業でのお話をひとつ。

 

社長さんによると、プロジェクトの問題や一人一人の弱点について「指摘はするけど行動しない」という、ちょっと困った人がいたそうです。

 

仮にこの困った人をAさんとしましょう。Aさんはそれまで、「指摘すること」はチームにとっていいことで、自分は価値あることをしていると考えていました。

 

ところが「多面貢献評価」で、同僚や部下に「指摘しているだけ」「行動が伴わない」と「実際のまわりから見た自分の姿」示されてちょっとショックを受けました。

 

その後、Aさんは変わり始めたそうです。口先だけではなく、自分が実際に行動してみせるようになったようです。

 

これも、他者からの視点を自分の改善に活かした事例です。

 

もう一つの事例は、ある企業の人事部長からのご相談。「成績は優秀なんだけど、活躍できていない人がいる」というお悩みでした。

 

診断ツールを使って調べてみると「メタ認知能力」が、比較するとあまり高くないようでした。

 

「メタ認知能力」が高くない人は、先輩や上司からアドバイスを受けても、部下や環境のせいにしたり、「自分は悪くない」と保身に走ったりしがちです。

 

そこでこの人事部長は、採用プロセスを改善し「メタ認知能力」を測定するある手法を取り入れました。

 

すると、少しずつ「メタ認知能力」が高い人の比率が高くなっていき、それが組織力の改善につながり、結果的に活躍する人材の離職率が大幅に低下した、というお話しでした。

 

「メタ認知能力」の低い人が、目に見えない形で組織に悪影響を与えていたのではないかというのが、この人事部長の仮説でしたが、どうやらそれは正しかったようです。

 

優秀な人材を採用したのに、活躍できない

 

中堅規模以下の企業の採用でよくある失敗の一つが、大企業の管理職経験者を非常に高いコストで採用してしまうことです。

 

私の経験からすると、このケースでうまくいく可能性は五分五分です。動きの速い組織文化のある企業では、常に自分を変革していく人が求められます。

 

つまり、大企業の管理プロセスで成果を出した人が、中堅規模以下の企業という別の環境で成果を出せるとは限らないのです。

 

自己客観視能力を活かして自分の位置づけを知り、そして改善行動を起こせるかどうかが、大企業を退職して新天地に行っても活躍できるかどうかの境目です。

 

イチローのように引退するまで成長し続けられる人材を見極めるには、「メタ認知能力」を測定することが欠かせないのは、こういう事例があるからなのです。

 

「メタ認知能力」の高低は、スキルのあるなしとは無関係です。

 

イチロー選手がオリックスに入団したときのドラフト順位は、4位だったのは有名な話です。

 

スキルをある人をそこそこの給料で雇う時も、今スキルはなくても成長の可能性が高い若手を採用するときも、メタ認知能力をチェックすることが、企業の発展にとって大事なノウハウになっているようです。

 

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