千利休に学ぶ生産性の高め方
From 山極毅@芝浦のオフィスより
ここ10数年、耳にタコができるくらい聞かせ続けられているセリフ。
それは、「日本の生産性の低さ」です。
日本生産性本部の最新のまとめによると、
・2020年日本の一人当たり労働生産性は、78,655ドル(809万円)。
・OECD加盟38カ国中28位。
・ポーランド(817万円)やエストニア(791万円)といった東欧・バルト諸国と同水準
・労働生産性水準が比較的低い英国(974万円)やスペイン(972万円)にも
水をあけられている。
・前年から実質ベースで3.9%落ち込んだこともあり、OECD加盟38カ国でみると
28位(2019年は26位)と、1970年以降最も低い順位になっている。
という惨憺たる結果です。
一方で、2013年に公表された国際成人力調査(次回は2025年の予定)の結果では、
日本は読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野すべてで、世界一と判定されました。
ちなみに、それぞれの力の定義は以下の通りです。
●「読解力」(Literacy)
社会に参加し、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させるために、
書かれたテキストを理解し、評価し、利用し、これに取り組む能力。
○ホテルなどにある電話のかけ方の説明を読んで、指定された相手に電話をする。
○図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本を選ぶ。
●「数的思考力」(Numeracy)
成人の生活において、さまざまな状況の下での数学的な必要性に関わり、
対処していくために数学的な情報や概念にアクセスし、利用し、解釈し、伝達する能力。
○食品の成分表示を見て、その食品の一日の許容摂取量を答える。
○商品の生産量に関する表を見て、グラフを作成する。
●ITを活用した問題解決能力
情報を獲得・評価し、他者とコミュニケーションをし、実際的なタスクを遂行するために、
デジタル技術、コミュニケーションツール及びネットワークを活用する能力。
○指定された条件を満たす商品をインターネットで購入する。
○表計算ソフトで作成された名簿を用いて、条件を満たす人のリストを作成した上で、
そのリストをメールで送信する。
この2つの事実からどういうことが言えるか?
ずばり、「日本の組織では、日本人の本当の力を発揮できない」ということです。
例として適切かどうか分かりませんが、
アメリカ大リーグに移籍し二刀流で結果を出し続けている大谷翔平さん。
重鎮と呼ばれていた某番組のコメンテーターが、
大谷さんに対して執拗にダメ出しをしていました。(その重鎮は番組を去りました)
重鎮にも言いたいことはあるのは分かりますが、
過去の常識ややり方に固執するのであれば、それは重鎮ではなく老害ですよね。
我々は何とかして、変化をしなければいけません。
日本の有名なことわざで、「好きこそものの上手なれ」という言葉があります。
これ、千利休さんが発した言葉だと言われています。
「器用さと稽古と好きのそのうちで、好きこそものの上手なりけれ」
道を究めていくには「器用さ」と「稽古(練習)」「興味を持っていること」の
三つが必要である。
その中でも一番大事なものが「好きであること」だ、と言っているのです。
「好きであれば上達する」というように軽い感じの話ではなく、
もともとは茶道の深い言葉だったのです。
「好きであれば続けることができる。好きであれば追求しようとする」
ということを述べることでその利点を語っているのです。
これを踏まえて、多くのビジネスリーダーにとっての悩みを考えてみましょう。
・なぜ、人材の生産性が低いのか?
・なぜ、創造的なアイディアが出てこないのか?
・なぜ、社員は仕事に熱中できないのか?
・なぜ、管理職のスキルにこれほどまで差があるのか?
・なぜ、人材の育成は上手く進まないのか?
・なぜ、きちんと人事評価しているのに、従業員満足度が上がらないのか?
中小企業から大企業まで、ビジネスを取り巻く環境は年々厳しさが増していっています。
市場の縮小、原材料費の高騰、労働人口の減少による採用難、人的資本の情報開示に対する
株主からの要求など、数々の社外情勢に対応して行かなければならない。
また、ビジネスリーダーがコントロールできるはずの生産性の向上活動も、
なかなか思うように進まないケースも多いようです。
改善のためにITツールを導入したり、新しい評価制度を導入したり、
社員研修を刷新したりしてみても、なかなか思うような結果が得られない。
人に関連する課題は、なかなか一筋縄では解決できません。
一人当たり生産性と、国際成人力調査のギャップ。
この原因として、「好きになれない仕事に従事する日本人が多すぎる」
という仮説を置くことにさほど無理はないでしょう。
思うような活躍ができず、悩みを抱えていた田中さん(仮名)の話を聞いてください。
田中さんは、ある企業の商品企画部に所属している、30歳前半の男性社員です。
社内の別の部署から商品企画部に異動してきて、約1年が経過したところでした。
仕事の全貌も理解できて、動き方も分かってきたはずなのですが、
なかなか仕事上の成果があがりません。
田中さんは、異動する前の部署でも似たような経験をしていました。
異動後の部署では心機一転新しい仕事に挑戦し、経験の幅を広げたいと考えていました。
そんなとき、商品企画部の事業部長の方が、
「田中さんと面談して、彼に立ち直りのヒントを与えて欲しい」、と私に依頼がありました。
田中さんと面談を繰り返していくうちに、私はあることに気が付きました。
田中さんが仕事で成果を出せない原因として、
田中さんが無意識に重視している「個人の優先行動スタイル」と、
業務上で要求される「業務の優先行動スタイル」の間に、
ギャップがあるのではないか?
「個人の優先行動スタイル」とは、千利休の言うところの「器用さ」、
「稽古(練習)」、「興味を持っていること」に相当します。
ここ10数年の間で、人材は管理すべき対象であるという考えかたは少なくなりました。
その代わりに、どのように個々人の能力を引き出せば良いのか?
という関心事に変化してきています。
仕事柄、私は色々な役職、経歴、専門を持った人材を見てきましたが、
能力を発揮している人には、共通する点があります。
そういった方たちは、報酬とか職位と言った外発的な動機ではなく、
内発的な動機によって突き動かされている人がほとんどだということです。
一方で、なぜか以前ほど活躍できなくなってしまったビジネスパーソンもいらっしゃいます。
こういう方と面談をしていると、自分が苦手にしている動き方を強いられることに
苦しんでいるケースが多いことに気が付きます。
田中さんの事例は、まさにこのケースでした。
商品企画部に要求される行動パターンと、
田中さんが本来の強みを発揮できる行動パターンには、大きな差があったのです。
人間は感情の動物と言われます。それはビジネスパーソンであっても同じです。
安心感とか心地よさが十分でない場合には、潜在的な思考力や能力が発揮できないのです。
そこで私は、これまで発表されている心理学と脳神経科学の知見をまとめ、
人の心を理解することに立ち返りました。
そして、いくつかのビジネスの現場で実践し、成果が出るように改良を加えました。
私は、田中さんの課題を解決するために、「優先行動モデル」という手法を開発することにしました。
この方法を使った分析結果を田中さんの上司に当たる事業部長に説明し、
ある対応策を提案しました。
最初の頃、正直言って事業部長さんは懐疑的でした。
しかし、他に良い方策も思い当たらないし、ダメモトで試してみることになりました。
その対応策を試してから3か月も経たないうちに、
田中さんは周囲の人たちを、アッ!と驚かせるような活躍を始めました。
これまで4人がかりでやっていた仕事を、
田中さん1人で引き受けてこなすようになっていたのです。
「器用さと稽古と好きのそのうちで、好きこそものの上手なりけれ」
業務の処理速度も向上しました。
4人で3日掛かっていた仕事を、
田中さんは1日で完了できるようにプロセスを組みなおしていたのです。
史上2番目の大富豪とも言われる、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは、
こんなことを言いました。
「たとえ自分の会社が天災で全滅したとしても、周囲の人材さえ一緒に働いてくれれば、
今まで以上に大きな会社を作ることができる」
会社は人でできている。
そして、人は仕事を通して成長する。
成長する仕事に出会えると、人は人材となる。
その結果、生産性は飛躍的に向上する。
田中さんの課題解決を通して、私は適材適所の大事さを改めて知ることになりました。
今回、「優先行動モデル」の狙いと考え方、学術的な裏付け、
実際に効果があったコンサルティング実例をまとめて動画にまとめました。
この動画、3時間22分とかなり長尺なのですが、
YouTubeにアップしてみると公開から8日間で視聴回数が5,000回を突破し、
総再生時間は2,400時間を超えました。
パワポのスライドに沿って解説していますので、2倍速再生でもOKだと思います。
【ビジネスリーダーのための人材活用術】
「優先行動モデル」で人材の付加価値創造力をアップする方法 こちらからご覧ください。
最後までご覧いただい方には、3つの特典をご用意してあります。
ぜひゲットしてください!
山極毅
P.S.
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