隠れたコストを計算したら。。。
From山極毅 丸の内のオフィスより
以前在籍していた自動車会社で身に着けたスキルの一つに、
コスト計算があります。
最初にやったコスト計算の目的は、
サプライヤーから納入されるエンジン部品の価格交渉のためでした。
部品の形状、材料費、加工に要する時間、
設備の償却費用、梱包費用、物流費用などが含まれます。
その後、商品企画部に異動してからは、
クルマ一台分のコスト計算をやったこともありました。
エクセルでコスト管理を行うのですが、
最終的には6000行程度のファイルになりました。
それぞれの行には、部品名称、コスト、質量などが記載されています。
コストや質量が目標の値になるように、設計変更したり、交渉したりして、
生産が始まる１年ほど前には、ほぼすべての部品の仕様を決めます。
なかなかしんどい仕事でしたが、おかげでクルマのどこにどんな部品が
ついているか、ほぼ知ることができたのは収穫でした。
そして最後の人事部では、人件費の計算を担当していました。
それまでは、実際に形のあるものを計算していたので、
だいぶ勝手が違うようなイメージがあるかも知れませんね。
実態は、それまでの経験が結構使えました。
部品の場合は、形、大きさ、材料、重さ、などでコストが決まります。
さて、人件費の場合は、どのようなファクターでコストが決まるでしょうか？
それは、「時間」です。
人事の専門家のあいだでは、「時間単価」という呼び名があります。
時間単価がわかると、5人の出席者が集まる会議のコストを求めることもできます。
例えば、採用面接にかかるコストを計算してみましょう。
求人媒体に広告を載せる費用や、会社説明会のための会場費用などは、
目に見えるコストです。
一方で、面接官の時間コストや、事前準備のための時間コストは、
隠れた費用となってしまうことが多いです。
これを計算すると、とんでもない気付きを得ることがあります。
実際の計算は、以下のような手順で行います。
まず前提条件を置きます。
・面接の回数 2回
・面接官の人数 3人
次に、「時間単価」を推定します
・社長・役員級 年収1200万円 → 人件費1500万円
（社会保険料15％ 各種手当10％が含まれるので、
人件費は給料よりも高いのです）
・課長級 年収800万円 → 人件費1000万円
・担当者 年収500万円 → 人件費 625万円
・部長級 1,500/1,800=8,333円／時間
・課長級 1,000/1,800=5,555円／時間
・担当者 625/1,800=3,472円／時間
人件費合計17,360円／時間
最後に費用を集計します。
★面接にかかる時間費用 17,360×2回＝34,720円
★面接の設定にかかる人件費 3472×2=6,944円
（担当者が一人に対して2時間使うと仮定）
★個性診断費用 5,000円
★会場にかかる費用（1人当たり） 2,000円
★交通費（1人当たり）2,000円
それらを合計すると、一人面接するために必要な社内コストは、
候補者一人当たり50,664円となりました。
仮に、10人面接して1人採用という歩留まりだとすると、
一人採用するまでに約50万円のコストがかかっています。
50万円のうち、40万円は人件費関係ですので、
帳簿には出てこない隠れたコストになってしまいます。
大勢が出席しているけど、話している人はほんの少し、というような会議も、
隠れたコストが発生する宝庫になっています。
在宅勤務が増えて、気軽にZOOMで会議設定されるケースが多いと思いますが、
意外にコストかかっている。
しかも、それが見える化されていないのは、今後課題になりそうですね。
あなたの会社ではいかがですか？
山極毅
P.S.
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