テンプレートにご用心
私がエンジンの設計部に配属された頃、先輩の机には下の写真のような定規がたくさん置かれていました。
円をフリーハンドで上手に描くのは至難のワザですが、この円定規を使えば初心者でもきれいな円が書けます。
この定規は、テンプレートと呼ばれていました。
昔はコンピュータがさほど発達していなかったので、図面を描くことは設計者の重要な仕事の一つでした。
新入社員は、こういう道具を使いながら、設計のスキルを身に付けていった訳です。
テンプレートを使えば、新人もベテランもほぼ同じように図形を描くことができたので、最初の頃は重宝しました。
(こんな書き方をすると「あなた、歳いくつですか?」と聞かれそうですが、これは約30年前の話です。30年で技術は進歩しましたね)
最近のテンプレートといえば?
最近、テンプレートというコトバをよく聞くようになったかも知れません。
例えば、会社の会議の発表で使う、プレゼンテーションのテンプレートです。
パワーポイントとかを見ると、まあ色々なテンプレートが用意されていますね。
見た目はとてもきれいですが、用意されているのは外側のデザインだけです。
文章の書き方や構成の方法とかは、テンプレートを持ってきただけではマネすることができません。
つまりこれは、見栄えは良いけど中身のないテンプレートです。
昔と今のテンプレートの違いは?
昔のテンプレートは、だまって手を動かせば円定規がキレイな円を描いてくれましたが、最近出てきたプレゼのテンプレートでは作業がもう一つ必要です。
それは、メッセージを書くことです。メッセージがなければテンプレートはただのデザインボックスになってしまいます。
こうなってくると、プレゼンテーションで大事なのは、メッセージ本文で言いたいことを構成する能力をと、それを伝えるビジュアルとして何を選択するか?という表現力の2つであることが分かります。
ここで問題は、メッセージ本文である文章をどうやって作るか?です。
文章なんて書けて当たり前、誰でもそう考えますよね。
でも、あなたもきっと、こんな経験をしているはずです。
会社で他人のプレゼンを聞いた時、あまりの複雑さ、難解な単語にうんざりしたこと、ありませんでしたか?
結論がいつ出てくるかわからない構成、誰も読めないフォントサイズの文字を見て、カンベンしてくれとイライラしたこと、ありませんでしたか?
文章をきちんと作って、ヒトに読んでもらう技術というのは確かに存在しています。
そして、それを教えてくれる講座も実際にあるんです。
ある会社が主催する、「すばやく質の良いメルマガを書くための講座」に、弊社の取締役に参加してきてもらいました。
終了してから成果を聞くと、
「15分あればメルマガ一本書けそうです。ほかにもネタ帳にアイディアをたくさん思いつくことができました!」
まじか!?
ということでノートを見せてもらったら、確かにたくさんのネタが。。。しかも、内容もかなり面白そうです。
この講座は、メルマガのテンプレートを理解し使えるようにする講座で、マーケティング業界の人たちの間では超人気の講座です。
昔のテンプレは手を動かすだけで良かったのですが、最近のテンプレは手と頭を一緒に動かす必要があるわけです。
で、人事の課題との接点はなんですか?
今一番、文章の作成スキルが必要な人事の仕事、それはズバリ採用活動です。
あなたの近くで、人手不足に悩んでいる会社が沢山ありませんか?
あなたの近くで、採用にメチャクチャ困っている会社が沢山ありませんか?
学生と働く人は減り、仕事の量は変わらない、あるいは増えているのだから、どうしようもありません。
最近は、テクノロジーの進化で、無料の採用ホームページを作成できるサービスが出てきました。
無料の採用ページでも、テンプレートというコトバが出てきます。
宣伝文句は、「テンプレート通りに入力すればカンタンにホームページが作れます!」というのが多いですね。
予算が少ない企業の人事部は、喜んでこのサービスを使います。でも、ちょっとよく考えてみてください。
無料で作れるということは、どの企業も同じことを考えます。そうすると、無料の採用ホームページがインターネット上にあふれます。
その結果何が起きるでしょうか?
大量の採用ページがあふれかえり競争が激化します。自然検索で目に付くことはありません。
無料の採用ホームページは、広告に出されることはありません。(何しろ無料で良かったと思って選んでいるのですから、広告費を使うわけないです)
その結果、無料の採用ページを見る人は一人もおらず、求人の応募もまったく来ない、ということになります。
人事の採用チームは、適切なテンプレートを選び、文章構成能力を磨き、適切な媒体に必要な広告費を使っていく。
このようなコツコツした活動をしなければ、必要な人材を採用することはほぼ出来ない労働環境になってしまったのです。
あなたの会社が必要としている人に、適切なメッセージを、正しいメディアで届けることができれば、採用は上手くいきます。
他社が無料の○○サービスに気を取られている今が、最大のチャンスかも知れませんよ!
p.s.
昔の人はいいことを言いました。
「タダほど高いものはない」
Copyright © 2019 Management HR Partners Co., Ltd. All Rights Reserved