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あなたの価値の最大化、それが勝ちパターン!(人と組織の生産性 Vol.7最終回)

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<前回のおさらい>
・組織生産性への影響が大きいメンタル離職の予防安全策は、企業独自の対応が可能
・生物としての反応(人間の個性)を尊重し、人間関係とコミュニケーションを変えていく方法がある

<今回の内容>
SWP(Strategic Workforce Planning)の基礎となるタレント・リソースマネジメントが、企業や組織にもたらす価値について考えます。

ダイバーシティ組織で多様な課題に対応bread

私は前職の自動車会社で27年間働き、その期間で設計・開発、商品企画、人事の3つ職種を経験しました。

”転職”という言葉は、普通は”勤務先”が変わったことを意味するケースが多いです。勤務先が変わると同時に、”職種”が変わる方もいらっしゃいます。

しかし圧倒的に多いのは、たとえば”人事”、”営業”、”マーケティング”という職種は変えずに、職場を変えるケースかと思います。専門スキルを活かしつつ、心機一転別の会社で再スタートするのは良い選択だと思います。

私の場合は、会社は変わらずに3つの職種を経験しています。職種が変わるたびに新しい知識とスキルを身に付けなければいけませんでしたので、その時は大変なことが多くありました。

今でこそキャリアの深みとして”ウリ”になっていますが、当時は必死でした。異動先では部下の方が実務に詳しい訳ですから、自分の価値をどこで出すかを自問自答する毎日。

社内異動制度があってこそ可能なキャリアでしたし、そこから得るものも大きくかったので会社に感謝しています。

また、組織としてもダイバーシティ効果は大きかったように思います。

以上の経験から、人事関連の講演では事業系人材を人事に一定数異動させ、多様性を深めるべきだと私は提言しています。

 

<あなたが得意とするポータブルスキルは何ですか?>

運搬可能なスキル
luggage

社内転職にせよ勤務先を変えるにせよ、通常は自分のテクニカルスキルを維持しながら異動します。

たとえば、”採用実務”が一番のテクニカルスキルであれば、他の会社でもあるいは本社人事からビジネスパートナー人事に異動しても、この専門能力を使って貢献することができます。

一方で、職務が変わってもどこでも使えるスキルがあります。それがポータブルスキルです。

経験と場数を重ねポータブルスキルが磨かれると、テクニカルスキルとは無関係に貢献ができます。

私のポータブルスキルの軸となったのは、”企画・戦略立案スキル”でした。

自分のキャリアを棚御したところ、レベルはさまざまですが約20年間に渡り企画・戦略業務に関わっておりました。

開発と企画時代は、エンジンの改良、排気ガス低減技術開発、将来のエンジン投入計画、フェアレディzやGTR用エンジンの初期企画、セレナやエクストレイルの商品企画、商品開発プロセスの効率化計画等々を検討しました。

人事部では、リソースマネジメントとタレントマネジメントの戦略、評価報酬制度、労働組合との賃金交渉、採用戦略、タレントパイプライン、若手育成プログラム、人事予算戦略企画等に従事してきました。

面白いもので、企画立案スキルというのは核となるスキルを身に付けてしまえば、あとはいかようにも応用が効くようになります。

このポータブルスキルのおかげで、専門能力を勉強している期間でも、そこそこのアウトプットが出せるようになりました。

その当時から、なんとなく自分の性格が企画業務に向いている感触はありました。しかし、その理由を説明することは出来ませんでした。

その後パーソネルアナリスト資格の勉強していたとき、自分の個性と企画業務の特性に相関があることに気が付きました。

さらに同様の分析をチームメンバーにも受験してもらったところ、個性と仕事の特性が合致すると仕事の成果が向上する可能性があることが分かってきました。

パーソネルアナリストの知見と私のマネージャーとしての経験から、皆さんご自身(あるいは皆さんの部下)が一番強みを発揮するであろう、ポータブルスキルの見つけ方のヒントをお教えしたいと思います。

<仕事と個性の一致という考え方>

まず、”ポータブルスキル”でGoogleで検索してみます。518,000件ヒットします。

その中の一例です。DODAさんが提供されているキャリアコンパスというサイトに、一般社団法人人材サービス産業協議会の分類表が掲載されています。

portable

このサイトには以下のように書かれていました。

自分のポータブル・スキルを探そうと思っても、何も参考になるものがないと困ってしまいます。ポータブル・スキルに正解はないですが、自分のポータブル・スキルを把握するときに参考になるツールとして、スキルの分類例があります。ここでは、一般社団法人人材サービス産業協議会による、ポータブル・スキルの分類を紹介しましょう。

(中略)

こうした分類を参考に、「自分はこういうことができる」「逆にこういうことが弱い」「こういうスキルを伸ばしていこう」と考えるのがいいそうです

分類表はPDCAを分解して5段階とし、そのそれぞれのフェーズで必要とされるスキルをまとめてあります。

確かに、PDCAのフェーズ毎で要求されるスキルは異なります。

しかし、自分はPDCAのPが得意だとか彼はDが得意だとか、仕事のフェーズによるスキル定義では実際の業務では使いにくいです。なぜなら、仕事は一連のプロセスとして進行するからです。

『Planは山田さんで、Doからは田中さんでよろしく!』という訳にはなかなかいかないでしょう。それよりも、自分流PDCAの進め方を持っている、という方が圧倒的に応用が効くと思います。

仕事の進め方はあくまで業務側の都合であって、仕事をするのは人間です。ポータブルスキルの発揮度合いは、人間の個性にしたがって表面化しそうです。

つまり、あなたが得意とするポータブルスキルは、あなたの個性に沿ったものであればあるほど強力で、かつ秀逸である可能性が高くなります。

あなたが得意なパターンは、例えば以下の選択肢のどれに近いですか?

A:自分の信念を貫き、正しいことを正しくやろうとするとき
B:人の意見を聞きながら、全体にとって最も良い解を追及するとき
C:データや理論を基に、合理的な判断を積み重ねて答えを導くとき
D:前例にとらわれず、自由な発想で解決策を考える時
E:定められた方針のもと、一歩ずつ確実に進捗を計ろうとするとき

<ヒントになる5要素>

戦略立案が得意な人はどんな人?
chess

 

上記5要素を使って、私の戦略立案パターンを例としてレビューしてみます。

どんなケースでも最初に頭をよぎるのは好奇心です。これを実施するとどうなるのか?やらないとどうなるのか?他社はどうやっているのか?過去はどうだったのか?

”知りたい欲求”が企画立案の原動力になります。そして色々な仮説や方策を前例に囚われずに作ります。

次の段階ではちょっと立ち止まり、それぞれの案の論理性をチェックして実際にやった場合のリスク等を検証します。問題がありそうなら少し前のステップに戻って考え直すこともあります。

仮説を作り論理性を確認したら、周囲の関係者に意見を聞いてみます。経験上、成功する企画は最初のフェーズで大反対されることが多いです。

多くの反対意見に耳を傾け、時には説得し時には共感しながら、自分の案への賛同者を増やしていきます。これは非常に手間がかかりますし体力も使いますが重要な段階です。

パーソネルアナリストが使用する理論(FFS理論)では、個々人の個性を分析して上記5つの因子を強い順番に並べます。

私のFFS理論での分析結果を見て気が付いたのは、企画という仕事のパターンと、私の個性が表に出てくる順番が完全に一致していたことです。

これにより、企画戦略立案業務に長く関わってこれた理由が確信できました。

読者の皆さんも、ご自身の業務遂行の勝ちパターンがあるはずです。反対に、どうも上手できない仕事というのもあると思います。

通常こういう場合は自分を変える必要があると判断し、スキルの習得を行おうとする訳ですが、自分の個性の摂理に逆らうわけですからかなりしんどいはずです。

パーソネルアナリストが生産性を向上する組織を設計するときは、個々人本来の姿で一番実力を発揮できるチーム編成と、タスクに応じた人選を行います。

持って生まれた個性、すなわちあなたそのものの価値を最大化することが、本当の勝ちパターンにつながる訳です。

もう一度5つの要素を書いてみます。あなたの成功パターンと比較してみていかがですか?

A:自分の信念を貫き、正しいことを正しくやろうとするとき
B:人の意見を聞きながら、全体にとって最も良い解を追及するとき
C:データや理論を基に、合理的な判断を積み重ねて答えを導くとき
D:前例にとらわれず、自由な発想で解決策を考える時
E:定められた方針のもと、一歩ずつ確実に進捗を計ろうとするとき

 

<SWPが最強の人事戦略である理由>

個人と会社2つの視点がSWP
team3

 

今回のブログの冒頭にあるピカチュウ写真ですが、なぜこの画像を冒頭に持ってきたのかと言いますと、日本人として非常に残念だったからの一言です。

なぜ、これほど世界中に影響を与えるコンセプトの商品が、日本で生まれていながら日本からリリースできなかったのか?

ポケモントレーナー達はポケモンの個性を扱うのが上手いです。状況に応じてポケモンを選択し、体力と敵との相性も考慮しながら戦いを組み立てていきます。

保有できるモンスターボールの個数(リソース)を考慮しながら、ポケモンたちの個性(タレント)をマネジメントしています。

我々日本の人事業界は、日本発のイノベーションがもっと実現できるよう、タレントマネジメントと組織開発に努力していかなければいけないと決意を新たにした次第です。

今回のシリーズの最後に、作文を一つご紹介します。

リソースマネジメントとタレントマネジメントの融合によって、人事戦略を一歩先に進める可能性が見えた時にまとめたものです。

FFS理論とは、集団内、あるいは組織内でのメンバー間の相互作用のある環境において、科学的かつ定量的にその個人が置かれた状態を把握するものである、と言えると思う。

私が勤務していた日産自動車では、2008年のリーマンショック以降、強化されてきた人事領域が2つある。ひとつはタレントマネジメント、もうひとつはリソースマネジメントである。

タレントマネジメントは、特にリーダー層の育成と後継者計画の充実化を中心にした活動、リソースマネジメントは売り上げ急減期の固定費抑制の方策検討とその実行、およびそれらプロセスを標準会して継続、定着させることであった。

つまりこの2つは、売り上げ拡大のためのリーダー層育成と、固定費削減のための人件費、人員の管理機能強化という側面を持っていた。

私は、2007年に既に立ち上がっていたリソースマネジメントチーム強化のため、2010年に企画部門から異動し人事部に着任した。着任後、固定費と人員のマネジメントを通じて、コストセンター管理機能として会社の収益に貢献してきたわけである。

ところが、プロセスがうまく回り始めるにしたがって、次の課題が見えてきた。それは、個々人を集合体としての全体として扱うことへの違和感であった。

つまり、人的資源を労務費やヘッドカウントといったコスト要因として捕らえることの限界を感じていた。この課題認識は私だけでなく、長年苦労をともにしたリソースマネジメント担当課長も同様の問題意識を持っていた。

この現状を何とかしようと考え始めたのが2012年頃であり、この頃から質的なリソース評価の可能性について、社外のさまざまな情報を収集して、我々の会社に適用できるものが無いか検討をしていた。

最初に見つけたのは、北米の関係会社が行っていた、業務を内製ですべきか、外注すべきかを判別するための方法論であった。具体的には、業務の重要性と複雑性を評価して、外注化できるものは変動費化して外注し固定費を抑えようという試みであった。

しかし、これは明らかに業務マネジメントの一方策であって、個人の配置を最適化するものではなかった。次に目をつけたのは、適性検査系の人物評価手法であった。

これは、面接時のスクリーニングや、面談ポイントの確認にとっては有効だった。しかし、個が個として隔離されており、周囲との相互作用における行動までは知見は得られなかった。

以上のような前段があり、今回FFS理論にやっと出会った。FFS理論では、個と組織と会社全体をつなぐ深い洞察が得られるだけでなく、短期的な最適組織や長期的な最強組が実践的に検討できる点が、これまでの個や組織に対するアプローチとまったく異なっている。

このFFS理論の特性がもたらすものは、おそらくタレントマネジメントとリソースマネジメントの融合ではないかと推測する。あたかも、量子力学と一般相対性理論を統合して宇宙を記述する大統一理論のようだとも思う。

さらに注目すべきは、リーダー層以外の屋台骨層へ、人事部が何を提供できるのか?という課題についてもカバーできる可能性が高い点である。この課題は、昨今従業員からの意見・要望として非常に増加してきている。

誰一人不要な人材はいないというFFS理論の基本ポリシーは、過去の自分や現在思うように成果がだせていない同僚や先輩、後輩をみれば明白なように、感覚としては分かっていても定量把握できていなかった事象である。

この理論に対する理解を深めて、社内に定着させすることができれば、商売に勝つだけの集団ではなく、より強い集団として強化することができる可能性が高いと思う。

なぜならば、自分と外界の両方が制御因子として検討対象になっているからである。今後も勉強し、理解を深めながら、顧客満足、ひいては売り上げ増大につなぐことができる、強い組織の実現のために貢献していきたい。

 

7回にわたって連載してきた人と組織の生産性シリーズは、今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。

最後の絵ですが、岩田さんがこの世を去られたとき、任天堂ゆかりのキャラクター達が岩田さんの死を悼んでいる様子です。

1人の情熱をきっかけに、世界中にこれほどまでの影響を与える製品を作れる訳ですから、日本の組織力を活かせばもっと頑張れるはずです。人事業界の役目は重大です。がんばりましょう!

日本発のイノベーションを実現する組織を作りたい
Mr Iwata

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山極

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経営人事パートナーズ:『利益を生む組織と人財をデザインします』

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