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メンタル離職の未然防止策(人と組織の生産性 Vol.6)

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<前回のおさらい>
・個々人の組織内での立ち位置や実力の発揮度合いは、チーム全体と個人の関係で相対的に決まる
・個性と仕事とスキルが完全にマッチしたとき、組織の生産性は最大になる
・一方で、個人の成長の為には適切なストレッサーも必要である

<今回の内容>
人間関係のストレスによるメンタル離職を、予防的に回避する方法について考えます。

このテーマが各種人事のセミナーで、主要課題として取り上げられることはさほど多くないようです。

メンタルチェックの専門的コンサルタントを除くと、人事や経営戦略コンサルタントがストレス低減の方法論や、メンタル休職・離職の課題について、正面から取り組む事例が少ないからでしょう。

いわゆる成功したビジネスパーソンや、著名な先生方の自叙伝や講演でも、極限まで追い込まれたご自身の経験をオープンにされる方はほとんどいらっしゃいません。

長い間働いていれば1回や2回、もっと成果を出されている方ならかなりの回数、精神的に追い込まれた経験があるはずです。

こういう過去は、できれば話したくない経験です。

なぜこの話題が表舞台に出てきにくいのでしょうか?理由はいくつか考えられます。

成功する人間はストレス耐性が高くなくてはならない、という信念。

精神力が弱い人間は、リーダーシップ能力が欠けていると見られるのではないか、という心配。

誰でも思い出したくない過去はあります。それが仕事上の辛い経験であればビジネスセミナーで語られることはありません。

そもそも、人の役に立ちそうな気がしません。成功体験を語るセッションでなければ聴衆も集まらないでしょう。

この話題に触れたくない理由の一つに、過去の仕事でのストレスを語るときに、どうしても上手くいかなかった人間関係を語らざるを得ないから、という事実があるように思います。

仕事が上手くいかなかった時代を思い出すと、うまく付き合えなかった人の顔がかなりの確率で思い浮かぶはずです。

実際、ストレス原因の約40%は人間関係の問題だというデータがあります。(詳細後述)

一方で、今まさに人間関係で悩んでいる人や、そういう自分をなんとか変えたいと思っている方もいらっしゃいます。

私は、成功者の失敗知らずの経験談が、かえって若手や中堅のプレッシャーになったり、時には自己効力感の低下を誘発するケースも見てきました。

人間関係が悪化すると、仕事のパフォーマンスは低下します。

その時上司は、パフォーマンスが低下の原因は、その人の能力に問題があると判断します。

この問題は、組織の生産性を向上するという人事の最終的タスクから考えると、非常に大きな障害です。

成功にはストレスは不要なのか?town-sign

私はどうだったのか白状します。実は、かつて2回ほど過大なストレス状態に追い込まれたことがあります。

2回とも上司との関係性がうまくいかず悩んでいました。仕事の難しさではなかったのです。

2人の共通点は、指導力が高く、規律を重視し、自己主張が強いことでした。

そしてヒートアップすると支配的で独善的になる傾向がありました。

面白いことに私が苦手にしているタイプには共通点があったのです。

パーソネルアナリスト資格を勉強中に、この理由が分かりました。

良いニュースもあります。共通点がある=再現性があるということは、人間関係によるストレスは制御できる可能性が高いということです。

例えば、他の人が苦手にしている人は自分としてはまったく問題なかったり、あるいはその逆のパターンもあります。

もし、この現象を説明できる理論をあなたの会社に導入すれば、職場の生産性向上に貢献できないわけがありません。

 

最大のストレス要因は『職場の人間関係』

平成 24 年の「労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)」が既に公開されています。

結果を見ますと、ストレスの最大の要因は前回調査に続き『職場の人間関係』でした。分かりやすいようにグラフにしてみました。

職場の人間関係の問題は41.3%でトップ
mental root cause

前回調査とのスコアの動きも表にしてみます。伸び代一番は雇用の安定の問題でした。

しかし人間関係の問題は、第2位の仕事の質の問題を8ポイント引き離しての1位です。

人間関係問題は前回より著しく増加した
H24 stress table

好ましくない問題に対しては、通常未然に防止する対策を取ります。

自動車の制御のプログラムであれ、航空機のオートパイロットであれ、アポロ宇宙船のマニュアルであれ、不都合が起きないように事前に対応することが通例です。

では、職場のストレスに関してはどうでしょうか?

一昨年12月1日、改正労働安全衛生法が施行され、従業員50人以上の事業所は毎年従業員のストレスチェックを行うことが義務化されました。

2016年11月末までに最低1回、従業員のストレスチェックを実施する必要がありました。

現時点、義務化されているのはチェックだけです。つまり、未然防止は企業側がなんらかの策を講じる必要があります。

どのような未然防止策が思い浮かびますか?

はい、専門家に相談するのが一番安全で確実そうです。

専門家に依頼する時にチェックしたいことに移る前に、一つ別の例を見てみましょう。

人間関係のストレスという視点から一歩踏み込み、個性間の葛藤として説明しようとするものです。

 

映画『頭上の敵機』で描かれていること

グレゴリー・ペック主演の『頭上の敵機』という映画をご覧になったことはありますかか?

第二次世界大戦中のアメリカ軍とドイツ軍の戦闘を題材にした映画です。

リーダーシップ研修の題材として頻繁に登場
12 oclock high

私がこの映画を初めて見たのは、あるリーダーシップ研修のときでした。あらすじは以下の通りです。

部下の失敗をかばう温情型のリーダーが、戦績不振により交代させられます。

後任(グレゴリー・ペックが演じる人物)は率先垂範、信賞必罰型の厳しいリーダーでしたが、チームメンバーの猛反発を受けます。

その結果、部下全員が配置転換を希望するという異常な事態が発生します。

新しいリーダーは更迭されることも覚悟しました。

しかし、新リーダーの戦術が功を奏しはじめるとメンバーの不満は信頼に変化し、最終的に大きな戦果をもたらすというストーリーです。

対照的な2つのリーダーが登場するので、リーダーシップ研修の議論の題材として良く使われる映画です。

主演のグレゴリー・ペックは、厳しいリーダーであるサヴェージ准将を演じていました。

この映画の後半に描かれる最終作戦の直前、サヴェージ准将は過大なストレスによる統合失調症でメンタル休職状態になり出撃を見送ることになります。

彼は基地のオフィスに座り、じっと時間が経過するのを待ちます。そして、出撃した部隊が帰投する予定の時間が近づきます。

サヴェージ准将に鍛え直されていた彼の部下たちは、准将不在の出撃にも関わらず作戦を成功させ、なおかつほぼ無傷で帰還するという素晴らしい結果を達成し映画は終わります。

 

注目したいのは、主人公であるサヴェージ准将がメンタル休職状態になった理由です。

実際に見た方は分かると思いますが、彼は非常に力強く、冷徹で厳しく、近寄りがたい雰囲気でとても精神力が弱いようには見えません。

しかし、サヴェージ准将の心身状態は悲惨でした。

基地のオフィスで目を見開いたまま微動だにせず座り続け、周囲からの声掛けにまったく反応しなくなります。

GP

それを見た副長の言葉『He’s up there, flying the mission(彼の精神は出撃している)』という一言は非常に痛ましいセリフです。

サヴェージ准将を精神的に追い込んだのは、冷徹に指導的リーダーの役割を果たしながらも、ある確率で命を落としていく部下達を明日も出撃させなければならないという苦悩に挟まれた状態、自分の中にある2つの相反する個性の葛藤でした。

これは実際のビジネスシーンでもありうる局面です。

例えば、マネージャーとして部下に厳しく接しなければならないが、一方で成果が出ないながらも部下は頑張っているから認めてあげたい、というような状況に該当します。

マネージャーはストレスに強くあるべきである。ストレスに強い人間をマネージャーに昇格させるべきであるという主張は、間違ってはいないと思います。

しかし、マネージャーも人間です。感情の起伏があり失敗しそうになれば不安になります。

同時に部下達は、リーダーを支えようと頑張りますが、コミュニケーションに問題があればチームの総合力は低下します。

 

いったい、解決策はどこにあるのか?
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個人への指導だけで状況は好転しない

厚生労働省の調査結果の通り、職場の人間関係が従業員最大のストレス要因になっています。

時には『頭上の敵機』で描かれているように自分の中で2つの個性が対立し、統合失調症につながるケースもあるかもしれません。

人間関係の問題ですから、自分ひとりではどうすることもできません。

個性の反応ですから、意思の力で制御することはかなり難しいです。

一方で、既存のストレス対策の方法としては、ストレスチェックの実施、産業医によるカウンセリング、外部相談機会の設定、啓蒙教育、組織運営指標の調査と分析等々があります。

複数の人間が関与する問題ですから、個人へのカウンセリングや集団の忠誠度指標分析だけでなく、チームに対する効果的な予防安全策を実施したいところです。

では、何が必要なのでしょうか?

チーム全員のパーソナリティを定量的に調査し、個々人が持つ人間関係に起因するストレスを把握し、チーム全体にコミュニケーションの指導をすること。

そして、もし可能ならチーム編成を組み替えることも検討します。

メンバーがメンタル的な理由で体調を崩すよりもっと前に、チームに内在する異なる個性のコミュニケーション上の潜在リスクを把握し、理論に裏付けされた策を実行に移すことです。

パーソネルアナリストは、この理論と実践も仕事の一つです。

ある年齢以上の方は、『交通戦争』という言葉を聞いたことがあると思います。

毎年の交通事故死者が1万人を超えていたので、このような物騒な名前になりました。

しかし、最近では4,000人台の年が続いています。まだまだ不幸な事故はありますが、大きく減少しました。

取締りの強化も一因ですが、やはり交通事故の予防安全技術の進歩が非常に貢献していると思います。

自動ブレーキ、障害物レーダー、暗視カメラ、居眠り防止装置、交通事故多発地点が表示されるナビ、等々以前にはなかった技術が投入されています。

人事の世界でも、まだまだ使われていない理論や、それを用いて生産性向上策を提案できるプロフェッショナルがいます。

個々の人間が持つ素晴らしい個性を活かし、生産性高くコミュニケーションのしやすい職場の実現に向けてお手伝いします。

個人的な意見ですが、ストレス対策の専門家に相談するとき、確認したいポイントです。

これは、事業会社の開発・企画・人事の最前線で現場と現実を見てきた者としての感想です。

①あなたが変わりましょう、的なアドバイスがないかどうか?(変われないから悩んでいる訳ですから・・・)

②人間関係の改善に関する具体策が示されるかどうか?(問題は個人ではなく関係性です。自分が変われないということは、相手も変えることはできません。)

③その具体策が腹落ちするかどうか?(上司と部下の意思疎通を改善しましょう!ごもっともですが、上手くできないから皆悩んでいる訳です)

 

パーソネルアナリスト(私のコンサルテーション)は以下のようにアプローチします。

①あなたは今のままでOKです。自分を変えるのではなく、自分と相手の人間関係を変えます。

②人間関係を変えるためには、まず自分を理解し、相手を理解することから始めます。自分と相手の思考パターンの差を理解することで、かなり気持ちが落ち着きます。

③あなたにストレスを与える相手の行動は、あなたを困らせようとしてやっているのはありません。

生物学的な要素で決まる、自然な反応(つまり相手も変わらない)であることをお互いに理解してもらいます。

ジェンダーや国籍だけでなく多様な個性を尊重すること、これが真のダイバーシティー&インクルージョンです。

自分と同じように考える人間だと思うと、相手の個性の尊重はできません。

そして異動の条件等が許すのであれば、生産性を向上するチーム編成を提案します。

スキル面も含めて人員の都合がなんとかなりそうなら、配置転換も含めて提案してます。

それぞれの人間の個性は、5つの因子の強弱で説明が可能です。前回『自由』という言葉からイメージする世界が違うことを説明しました。(参考リンク:あなたにとって『自由』とは何ですか?

それと同様で目の前の事象に対する反応は、個性を支配する5つの因子それぞれで異なっています。人間関係を理解し変化させるカギがここにあります。

職場を円滑に運営し、かつ生産性の高いチーム構成を実現したい方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お試しください。初回コンサルタント無料キャンペーン中です。

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山極

経営人事パートナーズ:『利益を生む組織と人財をデザインします』

コンサルタントに関するお問い合わせは、こちらからお願いいたします。人事戦略立案サポート、最適チーム編成のお手伝いをいたします。

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