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あなたの業界の生産性は?(経営人事の必須知識シリーズ最終回)

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今回は、業界別の付加価値生産性の比較をしてみたいと思います。前回、データ分析から以下の式が導かれました。

(会社が生み出す付加価値総額)=12.5 x (従業員数)+ 0.11 x (有形固定資産額)― 26.4 x(役員一人当たり従業員数)+ 17.6 (単位:百万円)

そして、シミュレーションをした結果を以下の表にまとめて見ると、タレントマネジメントにより従業員を把握する能力を26%向上すると、会社が生む付加価値が19%向上するという計算結果になりました。

simulation

この結果は、日本の274万社の平均です。データは44業界別に揃っていて、その分類は以下のようになっています。今日は、業界別に生産性の比較をしてみたいと思います。

1.食料品製造業
2.繊維工業
3.木材・木製品製造業
4.パルプ・紙・紙加工品製造業
5.印刷・同関連業
6.化学工業
7.石油製品・石炭製品製造業
8.窯業・土石製品製造業
9.鉄鋼業
10.非鉄金属製造業
11.金属製品製造業
12.はん用機械器具製造業
13.生産用機械器具製造業
14.業務用機械器具製造業
15.電気機械器具製造業
16.情報通信機械器具製造業
17.自動車・同附属品製造業
18.その他の輸送用機械器具製造業
19.その他の製造業
20.農業林業
21.漁業
22.鉱業採石業砂利採取業
23.建設業
24.電気業
25.ガス・熱供給水道業
26.情報通信業
27.陸運業
28.水運業
29.その他の運輸業
30.卸売業
31.小売業
32.リース業
33.その他の物品賃貸業
34.宿泊業
35.飲食サービス業
36.生活関連サービス業
37.娯楽業
38.広告業
39.純粋持株会社
40.その他の学術研究専門技術サービス業
41.医療福祉業
42.教育学習支援業
43.職業紹介・労働者派遣業
44.その他のサービス業

比較方法は、いつものようにグラフを使います。横軸に、従業員一人あたりの付加価値額、縦軸に売上高人件費比率を取ります。付加価値が大きいほど従業員への配分(給料)が増えますので、横軸は右に行くほど良いことになります。また、会社経営の観点からは、売上高人件費比率は小さいほど固定費負担が少なくなるので、縦軸は下に行くほど好ましいことになります。つまり、グラフの右下が良いポジションです。また、グラフの丸の大きさは、売上高が大きいほど大きく表示しています。⑤の業界の大きさで、約60兆円です。

Revenue position

上のグラフを見ると、左が丸の方が大きいように見えます。その境界は、1人あたり付加価値が1,000万円(横軸の10.0から上に伸びる線)のあたりです。この線より左側業界の売上の方が多いことが、視覚的に分かるかと思います。今度は、丸のサイズを従業員数でまとめたてみます。⑤の業界の大きさで、およそ100万人です。

Employee position

グラフにある①~⑥の業界は以下の通りです。日本の経済活動を支えるエネルギー業界、輸出入を支える水運業界、そして日本のエンジニアリング代表である化学工業、自動車産業が続きます。最後に進境著しい情報通信業です。

①ガス・熱供給水道業
②電気業
③水運業
④化学工業
⑤自動車・同附属品製造業
⑥情報、通信業

そして残念ながら、業界全体として生産性が高くなかった業界は以下です。

⑦小売業
⑧飲食サービス業
⑨職業紹介・労働者派遣業
⑩医療福祉業

業界⑦は、都心の繁盛店を除けば、昼間の百貨店の人余り感は素人目にも奇異に映ります。業界⑧も業界の歴史、構造的な課題はあるものと思いますが、ポジティブに言えば向上機会が大きいとも言えます。

業界⑨は個人スキルや全体の景気に左右される要素が大きいですが、人事業界としては頑張ってほしいところです。最近、主に採用や配属に関するITの導入が活発に報道されていますが、この業界の労働装備率の低さ(日本平均の約1/10)を考えれば、必然の方向だと思います。

最後に⑩の医療関係。医療の現場は、今大変な窮地に立たされています。皆がいつかはお世話になる業界ですから、現実的、効果的、早急な対応策が必要と個人的に感じています。

<データの総括>

左側の業界、つまり比較的付加価値の低い業界で、多くの人が働いている状況が分かります。以前、タレントマネジメントの定量効果 の記事で、日本の労働生産性が2倍になっても、世界3位のレベルにしかならないことをご説明しました。日本のGDPが低い理由の一つは、多くの人が働いている業界の付加価値生産性があまり高くない、ということです。実は、本件には失業率との関係を指摘する反論もあります。

GDPは付加価値を就労人口で割っているので、失業率が高いと必然的に高付加価値産業の比率が増えます。そうすると、見かけ上のGDPは向上します。IMF(国際通貨基金)の調査結果によると、2015年度の日本の失業率はOECD加盟国34ヶ国中33位(3.37%)と非常に低いです。この失業率の低さが、GDPが低い理由の一つであるという主張もあります。

しかし、GDPが日本より45%も高く、失業率が日本より低い国がひとつだけ存在しています。それはスイスです。失業率の低さを維持しながら、生産性を向上することも、不可能ではないという事例です。日本の生産性全体を向上するには、上位の業種の生産性を伸ばしつつ、個人のパフォーマンスに頼りがちな労働集約型産業の改革を進める必要があること明らかです。如何にして人事テクノロジーで変革をサポートしていくか、このあたりが人事業界の課題になると思います。

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さて、経営人事必須知識シリーズは今回で終わりにします。ご愛読ありがとうございました。どうもお金の話しかしないヤツなんじゃないか?という疑惑がボチボチ出てきていると思いますので、次回からは人間の個性にフォーカスします。そして、働く人と組織の視点から書いてみたいと思います。

(ちなみに冒頭の写真にあるA380のエンジンには、スイスのバイブロメータ社のセンサーが使われています。スイスつながりで、大好きな飛行機の写真を張ってしまいました。)

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