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経営×人事の必須知識(タレントマネジメントの定量効果)

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今回から、タレントマネジメントの効果を定量的に求める、という課題に取り組んでみます。私は、30歳代の前半から様々な商品・技術・経営・人事等の戦略立案と実行に関わってきました。戦略の効能を説明する際、良く使ってきた手法があります。それは、『ありせば、なかりせば比較』という方法です。ある戦略の効果が正しいかどうかを見極める際、実施した時しない時の差を直接測定することはできません。そういう場合、合理性のある推定方法を基に、『実施したとき(ありせば)』と『実施しないとき=現状(なかりせば)』の比較をします。今回もこの手法で考えてみます。まず前回最後にお見せしたグラフのおさらいです。

補正後

従業員規模が400人を超えると、一人あたりの付加価値生産性は頭打ちとなること、従業員200人までは従業員数の増加に伴って、生産性の向上が著しいことが分かります。また、その中間にある200人~400人の範囲では、生産性の伸びが鈍化してくる傾向も読み取れます。このグラフは、2015年度の国内274万社のPL(収益)、BS(貸借対照表)データを基に私が作成したものです。どんな大きな会社であっても、かつては小規模な門構えだった訳ですから、別の見方をすると会社の成長の歴史と見ることもできます。夜空にまたたく星たちを観測して、宇宙の歴史を調べるのと似ています。

まず最初に、タレントマネジメントはどの程度の規模の会社から必要になってくるのか、考えてみたいと思います。企業の成長段階に関するある資料によりますと、起業家の役割は従業員20人までは何でも屋、20~300人になったら人を動かす、300人を超えたら組織で人を動かす、と書いてあります。奇しくもグラフから読み取った結果(400人)と近いです。部下の数が多くなって、育成、配置、指導ができなくなったら、タレントマネジメントシステムで人材活用を検討することは合理性のある判断だと思われます。その人数はいったい何人でしょうか?

GEやLIXILの人事で活躍された八木洋介さんは、上司がマネジメントできる部下の数は、一階層あたり6名と言われています。仮に社長1人からスタートすると、社長-1レベルが6人、-2レベルで36人、-3レベルは216人となります。2階層下の216名のスキルと個性を完璧に把握することはほぼ不可能でしょうから、組織が2階層36人を超えたら、何らかのタレントマネジメントシステムを検討するのが良いことになります。前出の20人を超えたら人を動かすという記事と、6人×6人=36人がほぼ同じ閾(しきい)値である点は興味深いです。

タレントマネジメントの定量的効果検証をする際に、『実施すると生産性が何%向上します!』という結論ですと、経営者の皆様へは若干迫力不足ですので、ズバリ売上がいくらアップするのか?という形でお見せしたいと思います。その為の事前準備として、今までまとめてきたグラフの横軸を売上高に変更します。

付加価値生産性(実際)

軸を変えても現状に対する説明は同じです。売上高の増加は付加価値の創出でもたらされているが、一人当たりの付加価値は、規模の拡大と共に頭打ち傾向にあります。この傾向を説明できる変数を見つけられれば、タレントマネジメントがもたらす効果を、定量的に算出できることになります。次回ご期待ください。最後に以下グラフをご覧ください。

OECD

OECD加盟国の時間当たり労働生産性比較の順位表です。仮に日本の時間当たり生産性が現状(41.3)から2倍(82.6)になっても、世界で3位にしかなりません(2位ノルウエーは85.6)。失業率等の扱いが日本にとっては不利である、という議論があることは承知していますが、国としての実情であることも事実です。生産性が2倍になっても世界第3位なのですから、生産性+○○%という結果がでても、眉唾な話ではないのですよ!という前ふりでした。
(つづく)

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